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2023年秋の叙勲−県内32人

本紙掲載日:2023-11-03
2面

県北から、旭日章2人、瑞宝章4人

 2023年秋の叙勲受章者が、3日付で政府から発表された。県内から旭日章に8人、瑞宝章に24人が選ばれた。このうち、元衆議院議員で国土交通大臣などを歴任した中山成彬さん(80)=宮崎市清水=が旭日大綬章を受章した。県北からは、旭日双光章に元延岡市議会議員の太田龍さん(71)=延岡市大貫町・地方自治功労=、元門川町長の安田修さん(76)=門川町門川尾末・同=、瑞宝双光章に元諸塚村消防団団長の甲斐太さん(64)=諸塚村七ツ山・消防功労=、保護司の山本盛男さん(75)=延岡市平原町・更生保護功労=、瑞宝単光章に元高千穂町消防団団長の佐藤春男さん(64)=高千穂町岩戸・消防功労=、社会福祉法人光紀会「ひかり工房」元施設長の矢野光孝さん=延岡市松山町・社会福祉功労=が選ばれた。発令は3日付。6人の功績や喜びの声を紹介する。


◆太田龍さん(71)延岡市大貫町=旭日双光章=地方自治功労=
 市議16年、市政発展に尽力

 「4回の選挙を経験し、たくさんの皆さまにお世話になった。この栄誉は、私個人ではなく、そうした方々と一緒に頂くものと、ありがたく思っている」

 2003年に27年間勤めた市職員から転身。4期16年にわたって市議を務め、2013〜15年は副議長の要職も経験した。

 18年から19年は平成の大合併の真っただ中。「一連の流れの中で、改めて地方自治を勉強した期間でもあった」。その後は1市3町の議会との融和にも尽力。「3町それぞれに事情は異なっていたが、合併後は連携を図るため、紳士的に手を取り合うことができた」と懐かしむ。

 若い頃に自衛隊で鍛えた力を生かし、母校の中学校で柔道のコーチを務めたこともある。その時の教え子たちも50代だが、今も「太田先生」と慕われる。

 「これからも体の動く限り、地域のために尽くしたい」。気持ちはその頃と変わっていない。


◆安田修さん(76)門川町門川尾末=旭日双光章=地方自治功労=
 町長3期12年、手腕振るう

 2002年5月に門川町議会議員となり、議長を経て10年4月の町長選挙で初当選した。以来、22年4月まで3期12年間にわたり、豊かな経験と卓越した行政手腕を発揮し、町の発展に貢献。東九州自動車道・門川南スマートICの設置や新庁舎の移転建設などに尽力した。

 月10回は「かどがわ温泉心の杜(もり)」に通う常連でもあり、気さくな人柄も相まって町民と裸の付き合いを重ねてきた。「楽しい12年間だった」と改めて振り返る。

 受章の報に「身に余る光栄。これもひとえに町政に送り出してくれた後援会の皆さん、支持してくださった町民の皆さん、誠心誠意職務に励んでくださった町職員の皆さんのおかげ」と感謝する。

 また、現在の心境を「己(おの)が力と思うなよ」と表現。「受けたご恩を忘れることなく日々暮らしていきたい」。伝達式には、苦楽を共にしてきた妻エイ子さん(73)と出席する予定だ。


◆甲斐太さん(64)諸塚村七ツ山=瑞宝双光章=消防功労=
 消防団活動に情熱注ぐ

 1977年4月、諸塚村消防団に入団。通算41年にわたり消防団活動に尽力した。

 副部長、副団長などを経て2017年4月、団長に就任。21年4月に退任するまでの間、団員の指導育成や消防団の円滑な運営などに力を注ぎ、村民の生命・財産の保護、災害の防除・軽減に力を尽くした。これまでに消防庁長官表彰、日本消防協会長表彰を受けている。

 甚大な被害が発生した05年の台風14号による災害では、副団長として活動に従事。被災現場で団員らの手配、指揮などに当たった。

 現在は七ツ山公民館長を務める。消防団からは退いているが、台風など災害時に高齢者の避難を支援するなど、団員と共に活動することもある。

 受章を「身が引き締まる思い」と受け止める。「消防団の崇高な任務を遂行できるのも団員が活動するからこそ。私自身、団員に育てられたと思っている」と感謝した。


◆山本盛男さん(75)延岡市平原町=瑞宝双光章=更生保護功労=
 罪を犯した人に寄り添い

 知り合いから勧められ、延岡市社会福祉協議会に務めていた1994年3月に保護司となった。

 以来、現在まで29年以上にわたり、犯罪や非行を犯した少年らの更生にに精励。「罪を犯してしまった人たちも、ある意味では素直な部分もある」と冷静に分析し、「これからの人生に少しでも希望が持てるよう、対面した際は前向きな言葉を投げ掛けるよう意識している」と表情を緩める。

 そんな人柄からか、面会終了後、わざわざお礼を言いに来る少年もいたそう。「感謝の言葉は素直にうれしい。保護司冥利(みょうり)に尽きる」。

 現在は、市区長連絡協議会の事務局長や特定非営利活動法人「芽ばかり会」の会長も兼務。「受章は日々、積み重ねてきた活動の延長線上にあるものだと思っている。活動を支えてくれる家族らへの感謝を忘れず、今後もできる範囲でいろんな方たちに寄り添っていければ」とほほ笑む。


◆佐藤春男さん(64)高千穂町岩戸=瑞宝単光章=消防功労=
 団員ファーストで精励

 「私の力ではなく、支えてくれた家族や先輩、部下たちのおかげ。消防団に入団して三十数年、苦だったことは一つもなかった」と回顧する。

 職場の先輩に誘われ、1984年に高千穂町消防団員を拝命。率先垂範して任務に当たり、自治消防の発展に貢献した。

 分団長に抜てきされた2004年以降、規律、消防操法、防災訓練の指導などに注力。18〜22年には団長を任され、地域の防災意識高揚に努めた。

 「団員ファースト」を掲げ、訓練は自主性に委ねるスタンス。命を守るために〃叱る〃ことはあるが、凝り固まった慣習は強制しない。結果として自ら考え、動く団員が増え、団長在職期間にあった第26回全国消防操法大会ポンプ車操法の部で6位入賞を果たした。

 温かいまなざしで当時の記録映像を見やり、「退団した身だが、今後も協力は惜しまない。消防団の魅力ややりがいをたくさんの人に知ってほしい」と力を込めた。


◆矢野光孝さん(77)延岡市松山町=瑞宝単光章=社会福祉功労=
 障害者の社会参加を促進

 1972年、溶鉱炉の建設業務中に約13メートルの高さから落下。両下肢機能障害となった。延岡に帰郷後、社会復帰を果たし、車いすの販売業務に当たりながら88年には、障害者の就労・集いの場として身体障害者小規模作業所「光作業所」を当時の自宅横に開所した。

 96年、同作業所を法人化した「社会福祉法人光紀会」では理事長を務め、市内初の身体障害者通所授産施設「ひかり工房」や「グループホームにじ」など複数の施設を開設・運営。障害者の社会参加促進と福祉の向上に尽力してきた。現在は施設長などを次世代に引き継ぎ、県脊髄損傷者友の会支部長、県身体障害者団体連合会理事を務めている。

 受章に際し、「頂いたからには叙勲の名に恥じぬようより一層、社会に貢献していきたい」と意気込みつつ、「障害のある人がもっと安心して楽しんで暮らし、健常者の中に飛び込んで本音で語り合えるような社会づくりを」と目標を語った。

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