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新型コロナ週刊トピック

本紙掲載日:2023-11-11
2面

県内感染者数、前週から42%減少

◆7医療圏域・色分け注意喚起が解消−5類移行後初めて

 県の感染症週報第44週(10月30日〜11月5日)によると、県内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者数は定点当たり1・74人で、前週から42・3%減少しました。4段階で色分けした感染状況は、新型コロナが感染症法上の「5類」に移行して現在の集計方法となって(第20週=5月15〜21日)から初めて、県が区分する7医療圏域すべてで注意喚起の区分が解消しました。一方、8日時点の入院患者数は前週から27人増えて67人となり、重症者は変わらず1人でした。

◇延岡・西臼杵3週ぶり減−日向・東臼杵も減

 7医療圏域のうち、延岡・西臼杵の感染者数は定点当たり4・44人で、前週比マイナス33・4%と3週間ぶりに減少し、県内で唯一、上から4番目の「黄圏域」(基準値=定点当たり5人以上)だった注意喚起の区分からも外れました。

 日向・東臼杵も同69・4%と4週間ぶりに減少。日南・串間(定点当たり0・40人)、宮崎・東諸県(同1・00人)、都城・北諸県(同1・40人)、小林・えびの・西諸県(定点当たり1・50人)、西都・児湯(同2・33人)も落ち着いています。

 県内の定点医療機関から報告された新規感染者数の年代別割合は多い順に、80代以上が16%▼10〜14歳が14%▼15〜19歳と60代が各11%▼5歳未満と30、40代が各9%▼5〜9歳が8%▼50代7%▼20代4%▼70代2%でした。

 定点報告数を基にした県内の推計感染者数は1日当たり75人で前週の129人を下回り、5月並みの状況まで減っています。全国の感染状況も落ち着いていて、平均値は定点当たり2・44人(前週同2・86人)でした。

◇延岡市の独自集計前週比5人減の73人

 延岡市が独自に集計している新型コロナ感染者数の週報によると、先週1週間(10月30日〜11月5日)の合計は73人で、前週の68人から5人(7・3%)減少しました。日別では、10月30日16人▽31日15人▽11月1日20人▽2日6人▽3日5人▽4日8人▽5日3人となっています。

 一方、県が延岡保健所管内の定点医療機関から報告を受けた新規感染者集も4・71人で、前週の6・14人から減少して注意喚起の区分から外れました。インフルエンザはまだ高止まり状態で、県北は全域とも注意報レベルとなっています。

◇欧州・北米−新たな変異株が急拡大「日本に広がる可能性も」

 世界各国から集められるゲノム解析データで、今週に入って欧州と北米で新たな新型コロナの変異株が、急速に感染を拡大させていることが明らかになりました。

 感染症やウイルスなどを専門とする佐藤圭創医師(延岡市新型コロナ対策アドバイザー)は、「あまりにも突然で、海外では注目を集めている。冬場にかけて日本にも広がる可能性がある」と話しています。

 このうち、欧州で猛威を振るい始めたのは「JN・1」や「JN・2」という変異株で、ポルトガルやスウェーデン、イタリアなどで急拡大しており、フランスでもこの1週間にいきなり全体の10%を超える形で検出されたといいます。

 佐藤医師によると、JN系統株はBA・2・86(通称ピロラ)の子孫株に当たります。すでに11カ国で確認されていて、「次週には30カ国を超えるのではないか」と予測されているそうです。

 一方、北米やカナダを中心に広がっているのは「HV・1」という変異種で、アイスランドやオーストリア、ポルトガルなどでも拡大しています。こちらはXBB系統の亜種EG・5・1(通称エリス)の子孫株に当たるそうです。

◇JN系統「過去最強のウイルス結合能力」

 世界の専門家らが特に注目しているのがJN系統の感染力です。ピロラも免疫回避性が極めて高いと恐れられていますが、JN系統はその能力を高めた上、細胞に結合する能力がこれまでに確認されている変異株の中で最も強い可能性があるというのです。

 スパイクタンパクには、「第9波」の主流株だったXBB・1・5と比べて41カ所もの変異が確認され、「ワクチンが効かない恐れがある」と主張する専門家もいるそうですが、現在接種が進められているXBB・1・5対応ワクチンは「むしろ、それまでのワクチン(BA・4、BA・5対応)よりも有効」として欧米では接種が強く推奨されています。

 なお、現在報告されているJN系統の症状はこれまでの新型コロナと大きな変化はなく、重症化率や死亡率にも大きな差異は確認されていません。ただ、流行国では入院患者が増加傾向にあるそうです。

◇国内ピークは年末年始か−ワクチン接種の検討訴え

 佐藤医師によると、先に冬を迎える欧米で感染を拡大させた変異株が、2カ月ほど遅れて日本で流行する傾向にあり、今後はJN系統かHV・1のいずれかが増強して主流株へと置き換わる可能性が高いといいます。

 現在の感染者数の推移は昨年と酷似していて、それに当てはめれば12月後半から来年1月の年末年始に「第10波」が襲来することになります。

 このため、延岡市や市医師会は「感染状況が落ち着いている今のうちに抗体価(免疫力)を高めてほしい」と、ワクチン接種を検討してもらえるよう訴えています。

 感染者数が高止まりしているインフルエンザはいったん落ち着く見込みですが、タイミングが悪ければ新型コロナと同時流行する可能性があります。佐藤医師によると、現在主流のインフルエンザウイルスはA香港型ですが、徐々に増加中のAソ連型は「タミフル耐性」が高く治療薬が効きにくくなっているため、要警戒だといいます。

 県外はすでに、新型コロナ、インフルエンザのワクチンとも予約が詰まっていて接種困難となっている地域が複数あります。いざ流行が始まれば県内でも混雑が予想されるため、医師会などは「接種を希望される方は早めの予約をお勧めします」と呼び掛けています。

◇「春接種」受けていない高齢者へ案内はがき

 延岡市地域医療政策課によると、9月から進められている新型コロナワクチン「秋接種」の接種券はほぼすべての対象者に郵送しましたが、「届いていない」という問い合わせが続いているといいます。

 接種券は前回接種から3カ月が経過してから郵送されるため、「春接種」を8月に受けた人などには、これから「秋接種」の接種券が届けられることになります。

 一方、「春接種」の接種券は5月から65歳以上(昭和34年4月1日以前生まれ)の人に郵送されていますが、「春接種」を受けていない(接種券を使っていない)場合には「秋接種」の接種券は郵送されず、手元の接種券(春接種分)が引き続き使用できます。

 市は接種券が届かないために、「秋接種」を希望しながら機会を逃している人がいる可能性があるとして、今月1日までに該当者へ改めて「お知らせ」のはがきを郵送しました。

 はがきは、昨年の「秋接種」を接種済みで今年の「春接種」を受けていない65歳以上の約8000人に送ったということですので、ご確認ください。市は「ワクチン接種は強制ではありません。接種券を紛失した場合は再発行できますので、はがきにある連絡先までご相談ください」と呼び掛けています。

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