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中国人殉難者慰霊祭−日之影

本紙掲載日:2023-11-22
3面
日之影町で営まれた「中国人殉難者慰霊祭」
日中友好平和不戦の碑前で記念撮影する被害者遺族ら

槇峰鉱山に強制連行、強制労働−亡くなった中国人労働者を追悼

◆不幸な歴史を繰り返すことのないよう

 延岡市北方町と日之影町にまたがる槇峰鉱山に強制連行され、過酷な労働などにより亡くなった中国人労働者を追悼する慰霊祭が21日、日之影町七折の鉱山跡慰霊碑前であり、関係者ら約80人が殉難者を悼んだ。

 日本は太平洋戦争末期、「華人労務者内地移入に関する件」の閣議決定を下し、約3万9千人の中国人労働者を強制連行。

 三菱鉱業(現三菱マテリアル)の事業所があった槇峰鉱山には1945年2〜8月、山東省出身の250人を配置。劣悪な条件下で強制労働をさせられ、76人が亡くなった。

 こうした事実を後世に伝えようと74年、各方面の有志が財を投じ、鉱山跡に中国人殉難者慰霊碑を建立した。

 被害者遺族は、長年にわたり三菱マテリアルへ謝罪と賠償の要求を続け、2016年に和解が成立。21年、慰霊碑そばに「日中友好平和不戦の碑」が建てられた。

 慰霊祭は、日中両国が互いの歴史認識を深め、平和と友好に向けた歩み寄りの一助にしようと毎年実施。延岡日之影両自治体の社会福祉協議会でつくる奉賛会(柳田泰宏会長)が主催している。

◇遺族が初参列

 この日は、三菱マテリアルとの和解により初めて被害者遺族が参列。昌竜寺(日之影町)の霊元丈法住職、吉祥寺(延岡市)の尾田正明住職が読経を唱え、被害者遺族を含む関係団体の代表12人が慰霊碑前に焼香した。

 その後、柳田会長が「尊い教訓を深く心に刻み、不幸な歴史を繰り返すことのないよう両国の平和友好に努力する」。中国駐福岡総領事館の韓斌=カン・ピン=政治部長が「新時代にふさわしい両国の関係構築に尽力し、ともに地域平和、繁栄に貢献していくことを願う」とあいさつした。

 曽祖父を亡くした肖建永=シャウ・ジェン・ヨン=さん(52)は「先祖がかつて苦しんだ土地で日本の友人とともに追悼会を行い、平和の尊さを感じている。私たちは過去の教訓を忘れてはいけない。両国の友好と平和を望み、再び不幸な歴史が繰り返されないことを切に願う」と話した。

 参列者は式後、鉱山跡を見学。日之影町役場で開かれた交流会で親睦を深めた。

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