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オストメイトへの理解を

本紙掲載日:2023-12-11
3面

甲斐健吾医師(延岡市出身)が講演−障害者週間記念講演会

◆VRトレーニングアプリ製作に意欲

 障害者週間(12月3〜9日)に合わせた記念講演会が8日、延岡市のカルチャープラザのべおか多目的ホールであり、同市出身で宮崎大学医学部外科学講座助教の甲斐健吾医師が「オストメイトとともにつくる、新しい技術を使った未来づくり」をテーマに話した。市民や関係者ら約160人が聴講した。

 講演会は、障害者に対する正しい理解と市民への意識を啓発する目的で、同週間期間中に延岡市が毎年開催している。今回は、肢体不自由を除くオストメイトなど内部障害者への理解を深めてもらうため、医療現場をはじめVR(仮想現実)を活用した技術開発など、幅広く活躍する甲斐医師を招いた。

 はじめに、甲斐医師は、さまざまな病気や事故によるけがを治療するための手術などで、腹部に排せつのためのストーマ(人工肛門、人工ぼうこう)を装着したオストメイトについて、厚生労働省の報告などを引用しながら国内に20万人、県内に約2千人いることなどを説明。

 オストメイトは、腹部に排せつ物をためる袋状の装具「パウチ」を着けて生活するため、パウチの着脱やストーマ周辺の洗浄を自ら行う管理方法を習得する必要があるが、入院中のトレーニングには限りがあり、退院後の実践への不安の声も少なくないなど、現状や課題について話した。

 こうした課題を克服する方法として、甲斐医師らは、VRを活用して管理方法を共有する方法を発案。優れた管理方法を習得している先輩オストメイトの視点、手の動きなどを主観的目線でカメラで撮影し、その映像を用いた疑似体験を通じて時間や場所を選ばずトレーニングできるシステムを開発中であると紹介。

 また、研究・開発には大学の医師や看護師のほか、民間企業や関係団体、患者などの協力で進められていることを強調したほか、オストメイトだけでなく看護師のトレーニングなど幅広く対応できる可能性などにも触れ、来年4月には実用を目指しているとした。

 甲斐医師は「このプロジェクトが多くの方々の役に立てるよう、皆さんからの応援の声も頂きながら広げていければ。新しいチャレンジから生まれる何かが、未来につながればいいなと思いながら頑張っていきたい」と話した。

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