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旧校舎の活用策を提案

本紙掲載日:2024-03-16
6面
活用案を発表する3年生
提案後、地域住民らと意見を交わした

三川内小中中学部3年生

 延岡市立三川内小中学校(上中別府利一校長)の中学部3年生4人は14日、卒業を前にしたスペシャルプロジェクトとして、今は使われていない旧中学校の校舎を活用するアイデアを発表した。

 同校は、市の小中学校再編計画によって2015年4月に小学校と中学校を統合させて誕生。校舎は小学校の施設を活用しているため、中学校の校舎は使われていない状況が続いていた。

 そこで、地域資源を生かす視点を磨き、地域貢献につながればと1月にプロジェクトを発足。廃校利用施設に詳しい鹿児島大学法学部の農中至准教授からオンラインで廃校利用の現状や事例を学び、旧中学校の視察も行った。

 活用案を出すため、地域の強みと弱みについても意見を出し合い、持続可能で弱点を強みに変えて長所を伸ばせる施設として、2案を提案した。

 一つは、ホタルの研究所と地域コミュニティーを融合させた施設。同校が長年続けているホタルを守る活動に「地域一丸となって取り組み、ホタルが人と人との懸け橋になる存在になれば」と願いを込め、また、「集まる場所がない」という弱みを補う交流の場とすることを提案した。

 もう一つの案は、インターネットやデジタル環境がよくないという弱点から、「脱ネット施設」をつくること。豊かな自然を生かして、不安やストレスを解消できる自然体験活動に挑戦してもらい、インターネット依存症の人らの心のよりどころとして、地域外から人を呼び込むことを目指すという。

 提案後には、1、2年生8人と教職員、地域住民と意見を交わした。3年の奈須唯斗さんは「来年もぜひ考えてほしい」、田村蓮さんは「地域全体が一丸となって考えないと解決できない。これからも頑張って」、小野杏実さんは「いつか実現してほしい」と後輩たちに期待。

 有村洋輝さんは「地域のことを調べることで、自分一人では気付かなかったこと、みんなと話し合わないと出ない意見が出た。話し合うこと、意見を聞くことは重要だと感じた」と話した。

 耐震化や金銭面の不安の声は上がったものの、地域住民の一人は「母校なので使ってほしいなという夢もある。発表が素晴らしかった」と涙を流して喜んだ。

 発表を見守った農中准教授は、「今回取り組んだ4人が、いつか『ここがあるから帰ってこれる』という空間、場所を創造してもらいたいなと思う。大人の力によって何らかの場所に転用されたら、疲れ果てた時に帰ってこれる。そういった形が理想」とまとめた。

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