高校生がフードドライブ活動

本紙掲載日：2021-09-01

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集まった食品や日用品とフードドライブを行った（左から）髙久さん、三宅さん、前田さん

子どもの貧困の現状を伝える堀之内代表

家庭からの食品、日用品を子どもネットへ－延岡

　延岡市内の高校２年生、前田紗李花さん（星雲高校）と三宅優理菜さん（同）、髙久愛彩さん（尚学館中学校高等部）の友人３人組が８月２８日、同市伊達町のアジアンショップ・ジャンピージャンパー（岩永たまき代表）で、生活困窮者らへの食品支援活動「フードドライブ」を行った。約２時間で、軽自動車の積み荷スペースがいっぱいになるほどの品物が、市民から寄せられた。

　フードドライブは、余っている食べ物などを家庭から集め、地域の福祉団体やフードバンクに寄付する活動。フードバンクは、主に企業や農家から食品を寄贈してもらい、必要としている人へ届ける活動や団体を指す。

「子どもに関わる仕事に就きたい」と言う前田さんと三宅さんは、授業で子育ての課題を調べている。これがきっかけとなり、前田さんが「貧困についても考えてみたい」と同じ夢を持つ髙久さんも誘い、今回のプロジェクトを企画した。

　同店を受付場所に選んだのは、同店でもフードドライブを行っているため。午後２時ごろになると、寄付者が次々に来店。３人は「ありがとうございます」と感謝し、約２時間、感染症対策を講じた上で対応した。

　訪れた同市小野町の尾﨑富子さん（６１）は「高校生が子どもの貧困を学び、実際に活動する姿勢が素晴らしい」と称賛。「続けることが大事。これからも取り組んでほしい」と期待した。

　約５０人から寄せられたのは、カップラーメンや缶詰などの食料品、せっけんやティッシュペーパーなどの日用品。軽自動車の積み荷スペースがいっぱいになるほど集まり、３人は、すべてを同市の「子どもネットワークのべおか」に寄付した。

　発起人の前田さんは「予想以上に寄せられて驚いたし、感動した。皆さん優しくて、暑かったけど疲れが吹き飛んだ。次はクリスマス前に行う予定。今回はチラシ配布などの周知のタイミングがぎりぎりだったので、余裕を持って活動したい」と話した。

　岩永代表は「今後も一緒にやっていきたいし、継続してほしい」と高校生にエール。寄付者に対しては「コロナ禍と暑さの中、多くの方に来てもらってありがたい。皆さんの応援が、高校生の次の活動の意欲になった」と感謝していた。

◆貧困の現状、勉強会で学ぶ

　この日は、岩永代表が経営する伊達町のタイ式リラクゼーションルーム・リップで、子どもの貧困の現状を学ぶ勉強会も開かれた。前田さんら高校生の他、市外からも約５人がオンラインで参加。子ども食堂などに取り組む「子どもネットワークのべおか」の堀之内健吾代表が、同市の実態や経験談を伝えた。

　堀之内代表は、国の文化、生活水準と比較して困窮した状態を指す相対的貧困を説明した上で、「延岡の貧困率は４、５人に１人。日本全体と県の７人に１人よりも多い。特に、１人親世帯は２人に１人の割合となっている」と解説した。

　これまで関わってきた親子の実態、子どもの貧困対策に関わる取り組みなども紹介。フードドライブを行った高校生に対しては「興味を持ってくれて、実際に活動してくれてとても感謝している」と伝えた。

　三宅さんは「日本の貧困率が高いことに驚いた。身近にあるんだな、と痛感した。救うためのいろんな活動があることも知ることができて良かった。今後、フードドライブ以外にも自分にできることを考えたい」と話していた。