なつかしいふるさと県北の思い出（８）

本紙掲載日：2021-09-02

6面

木村チヨ子さん（延岡市）提供①

◆大師祭でばんば踊り

　浴衣姿の女性が列を組んで「ばんば踊り」を踊っているのは、１９６７年の大師祭。踊り手の一人として写真に写っている延岡市三須町の木村チヨ子さん（７９）が提供してくれた。

　木村さんは当時２５歳。旭化成の食品工場に勤務し、調味料の「旭味」の瓶詰めや袋詰め作業などを担っていたという。

　大師祭には「２、３回参加した記憶はあるが、写真が残っているのはこの時だけ」。そろいの浴衣は「借りたっちゃろうね」と木村さん。当時は今のようにカラオケなどの娯楽も少なく、「仕事が終わって遅くまで練習して、（家に）お風呂もなかったから時間ぎりぎりに銭湯に駆け込んでたね。若さじゃが」。仕事で疲れた後の練習も、掛け替えのない時間だったという。

　写真に写る吉岡時計眼鏡店は、恒富小近くのＹ字路の突端にあった。手前の道路は右が安賀多橋方面。中央から右奥が大瀬橋方面。市役所から恒富小まで、お接待のある休憩を挟みながら踊って歩いたという。「お大師さんといえば、人が多かったね」と懐かしそうに話した。

　また、下は、市民の記憶に新しい先代の市役所前での記念写真。５５年の建築で、南面は、当時としては珍しいカーテンウォール仕様だった。

★★★Ｃ：￥Ｋ３￥Ｄａｔａ￥ＦＤデータ￥３￥私の一冊７マツタ工業社長・松田佳久さん（〓）＝延岡市桜ケ丘＝「人を動かす愛蔵版」（Ｄ・カーネギー）２０２１０９０１０２４０．ＴＸＴ～★★
◆山本（）（Ｐ）（※９月２日・７面掲載）
私の一冊（７）マツタ工業社長・松田佳久さん
「人を動かす愛蔵版」（Ｄ・カーネギー、創元社）

◆人をどうやって褒めるか

－－この本との出会いを教えてください。

５００万冊以上売れている名作で文庫本にもなっていますが、これは愛蔵版です。私が結婚した２６歳の時に、当時の上司から「これからは人を指導する立場になるから読んだ方が良い」と頂きました。ただ、昔の書体が使われているので読みづらかったのと、翻訳本が苦手で、すぐには読んでいませんでした。

－－しっかり読んだのはいつですか。きっかけは。

３０代半ばぐらいで、役職が付いた時期です。また、当時、仲の良かった先輩が部下になったんです。いろいろありまして、「こんな本もらってたよな」と思い出して読みました。経験と本の中身が一致しているところが多く、信用できる本だと思いました。

－－どのような内容でしょうか。

人を動かす３原則、人を説得する１２原則などが書かれていますが、共通して見えてくることは「人を批判しない」「相手の立場に立つ」「自己受容感を与える」。これらが繰り返し形を変えて説明されています。要は、人をどうやって褒めるか。また、「褒めた人は忘れているが、褒められた人は忘れない」と書いてありますが、その通りなんですよね。私も小学５年生の時のことをいまだに覚えています。

－－小学生時代のことを、ですか。

国語の先生から、読み方をすごく褒められたんです。そのせりふ、今も言えます。
「え。ええ、あの、あのね、菜の花横丁ってあるかしら」「菜の花橋のことですね」―。
女の子のせりふなんですけど、「ものすごく感情がこもっていてうまい」ってね。わずか２行ほどの朗読を褒めてもらったことがうれしかった。
この本にも書いてあるように、「人の良いところをいかに見つけて本気で褒めるか」が、人を動かす秘訣（ひけつ）なのかなと思います。

－－ご自身も実践されていますか。

未熟で、いまだにできないことが多いので、この本を読み返しています。
それでも、頭ごなしに、何の理由も聞かずに怒ることはしません。人は、何事も失敗することで身に付くと思うので。
どうして失敗したかを聞き、その失敗を次にどう生かすか考えるよう伝えています。失敗して何も言わない人もいる。それは誰のためにもなりません。ですから「自分の失敗は他の人にもあり得る」と共有し、周りは「よく言ってくれた」と受け入れることを望んでいます。

－－本は昔から読まれてますか。

幼い頃から大好きでずっと本は読んでいましたね。大学時代は小説に〃はま〃り、阿刀田高や西村寿行などを読み、社会人になって自己啓発本を読みだしました。
今は、ビジネス本を読みながら旬なもの、今で言うと「渋沢栄一」の本とか。あとは、月刊誌「致知（ちち）」で知った、仕事関係の本を読みます。
致知は毎月１０冊、会社用に買います。社員には、とにかく漫画でも何でもいいから本を読んでほしいと思ってます。何かしら得るものがあるので。ただ、本は「読みたい」という意識のある人が読めば、必ず身になりますが、いやいや読んでも駄目だと思います。何でもそうですよね。
（延岡市桜ケ丘、５３歳）