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本紙掲載日:2021-09-24
3面
会員募集のポスターを手にする日本オストミー協会の甲斐まゆみ県支部長と甲斐誠郎県北ブロック長

困っているのは自分だけじゃない−日本オストミー協会県支部

◆県支部長の甲斐さん−女性初、県北から就任も初

 「同じ境遇にある者同士で気軽に話してみませんか」と呼び掛けるのは、日本オストミー協会県支部長を務める甲斐まゆみさん(42)=門川町西栄町=と、県北ブロック長の甲斐誠郎さん(71)=延岡市南一ケ岡=。県北からの支部長就任は初めて、女性支部長も県支部では初めてという。新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動困難な日々が続く中でも困りごとを抱える人は増えているとして、支部のPRに努めている。

 同協会は人工肛門・人工ぼうこう(ストーマ)保有者(オストメイト)の互助団体。甲斐支部長は「一人で悩みがち」という当事者同士が少しでも楽に暮らしていけるような情報交換だけでなく、「自分たちのような体にならないことが一番」と、オストメイト以外の人にも向けた幅広い交流の場にしていきたいという。

 オストメイトが排せつの管理に欠かせないストーマ装具は、専門の業者でしか買えず、大きさや種類、価格ともさまざまで、手入れも人によって異なる。だが、これらの知識や情報を得られる環境は十分に整っておらず、知らないまま自分に合わない装具を使用している当事者は多いという。

 性別や体格、体質、仕事など個々に即した装具やケア計画は、オストメイト専用の「ストーマ外来」で提供しているが、県北に同外来があるのは県立延岡病院のみ。

 甲斐支部長らによると、「かかりつけ医に紹介状を書いてもらえば受診できる」が、その存在自体を知らなかったり、決められた装具しか使えないと思い込んで諦めている人も相当数いるとみられ、何とか情報を届けたいと試行錯誤を続けている。

◇オンライン交流会を開催

 人工ぼうこうを中心にオストメイトは増加傾向にあり、甲斐支部長らの調査では延岡市内だけでも現在233人と、前年より39人増加。県全体では2000人を超えるが、一時300人近くいた支部会員は高齢化で50人以下まで落ち込んでいる。

 加えて、人口が多い県央地区とそれ以外の地域とでは情報量が違うため、オストメイト自身の意識だけでなく、社会の認知度にも格差があり、地域ブロックの活性化が課題だという。

 ただ、県内のアンケート調査では、周囲の目を気にしてオストメイトであることを知られたくないという人が大半で、家族にも話していなかったり、長年引きこもっている当事者もいることが確認されているという。

 甲斐支部長は、これまで行政への要望活動に軸足を置いてきた支部の方針を転換。抵抗が大きい温泉入浴を当事者みんなで楽しむ体験や、「やたら休憩の多い」バスツアー、悩みや将来への不安を語らうキャンプ交流会、介護施設のオストミー見学、男女それぞれのグループ会―などアイデアは尽きないが、コロナ禍で計画も立てられない日々が続く。

 「一人で悩んで別の病気になってほしくない」と門戸を広げ、インターネットを活用したオンライン交流会も開いている。それでも参加者が増える気配はなく、「どうにか存在を知ってほしい」と協力・賛同者も含め呼び掛けに力を入れている。

 安倍晋三前総理と同じ潰瘍性大腸炎で、2010年に大腸を全摘出してオストメイトとなった甲斐支部長。会社勤めで仕事も忙しいが、会員の高齢化が進む中、世代交代の期待も背負って、昨年4月に大役を引き受けた。

 会員としては支部長の後輩という甲斐ブロック長もポスターや案内文を自作、配布するなど奮闘中で、「興味・関心のある方はぜひご連絡を」と呼び掛けている。問い合わせは電話で甲斐ブロック長か、電子メールで事務局(joamiyazaki@outlook.jp)。

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