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いきなり豊作、マコモダケ

本紙掲載日:2021-09-25
3面
家田地区の休耕田でマコモダケの栽培に取り組んでいる長友さん。マコモの根元で肥大化した茎部分がマコモダケ
マコモダケの断面(右上)。黒い斑点が出始めると味が落ちる

上祝子の長友さん、休耕田で栽培

◆万能植物−天ぷらなど味も良し

 延岡市北川町上祝子のハナシバ農家・長友武洋さん(55)が、同町家田地区の休耕田を活用してマコモダケ栽培に取り組んでいる。2年目の今年はすでに、試験栽培を行った昨年の10倍近い量を収穫。長友さんは「いきなりの豊作でびっくり。本業と合わせて手が足りない」と苦笑いしつつ、「出荷できるまでになったので、これを機に周知されれば」と話している。

 マコモダケは、イネ科多年草マコモ(真菰)の根元で肥大化した若い茎部分。秋口に旬を迎え、タケノコとアスパラガスの中間のような食感を持ち、中国や東南アジア諸国では頻繁に料理や薬に用いられている。「真菰」は、日本でも古事記や万葉集などに記述があり、古くから親しまれてきた。

 茎の肥大化は、黒穂菌という菌の寄生によるもので、成熟すると胞子を放出し、茎の内部に黒い斑点を作る。斑点ができても食べられるが味が落ちるため、旬の時期は短い。

 長友さんは現在、家田地区内の休耕田2カ所(計20アール)で約400株を栽培中。昨春から水の流失防止や流木撤去などの水田整備とともに、試験栽培を行って準備を進め、今年3〜6月にかけて本格的に島根・岩手産の苗を植え付けた。「収穫は一つ一つ手作業。想定以上にハナシバと時期が重なって大変だが、今後は苗植えのタイミングをずらすことで調整することができるかも」と試行錯誤を続けている。

◆「捨てるところない」−茎を食べ、葉はお茶など

 マコモは高さ2メートルほどまで成長し、食用としては茎部分のマコモダケのほか、葉でお茶を作ることも可能。また家田地区では以前、家田川に原生するマコモを使った「ござ」や「みの」「むしろ」作りも盛んに行われていたという。

 高い水質浄化作用にも注目が集まっており、長友さんは「捨てるところがないことも含めて、SDGs(持続可能な開発目標)に通じる今の時代にぴったりな万能植物。もっと多くの人に知ってもらい、栽培にも興味を持ってもらえるとうれしい」と話している。

 長友さんは現在、同町の道の駅北川はゆまや恒富町のふるさと市場などにマコモダケを出荷しており、3本入りを350円で販売中。「炭火焼きや天ぷら、煮物、おでんなどで食べるのがお薦め」という。

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