秋の叙勲県北から５人

本紙掲載日：2021-11-03

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地方自治、更生保護で功労

　２０２１年秋の叙勲受章者が３日、政府から発表され、県内から旭日章１０人、瑞宝章１７人が選ばれた。県北からは元日向市議会議員の松木良和さん（７３）＝日向市浜町＝、元延岡市議会議員の佐藤裕臣さん（７２）＝延岡市北浦町＝、元諸塚村長の成崎孝孜さん（８５）＝諸塚村家代＝、延岡市大貫町４区区長の廣瀨武男さん（７６）＝延岡市大貫町＝が旭日章を、保護司の佐藤公英さん（７０）＝延岡市北小路＝が瑞宝章を受章した。また、九州保健福祉大学の前学長で宮崎大学名誉教授の髙崎眞弓さん（８０）＝宮崎市清武町＝が瑞宝章を受けた。このほか、本県にゆかりのある受章者は９人（旭日章２人、瑞宝章７人）。

◆旭日小綬章＝地方自治功労＝松木良和さん（７３）日向市浜町
市議２４年、地域の声市政に

　地域の声を市政に届けるため、１９８３年５月の日向市議選で初当選。「誰もが安心して住める自然と調和の取れた魅力あるまちづくり」を目指し、連続６期２４年間にわたってまちづくりや住民福祉の向上に貢献した。

　在職中、議長や副議長、建設常任委員会委員長、工業開発・公害対策特別委員会委員長、市監査委員などの要職を歴任。市議会の円滑な運営、地場産業の振興、雇用の創出、都市基盤の整備などに尽力した。

　「行政改革の推進に力を注いだ。少子高齢化社会を迎え、人口減少を見据えた組織のスリム化に取り組んだ」と振り返り、福祉、教育など財源の有効活用を訴えた。

　「議員は支援者に支えられて活動の場を与えられている」と信条を語り、今回の受章に「皆さんの代表として受ける。栄誉を共有し、共に喜び合いたい」と話した。

◆旭日双光章＝地方自治功労＝佐藤裕臣さん（７２）延岡市北浦町
議員活動で地域に恩返し

　「大分県から移り住んだ祖父を温かく迎え入れてくれた地域への恩返しが根底にある。皆さんが応援してくれた結果なので感謝しかない」と朗らかに笑う。

　旧北浦町で農林業に従事する傍ら、１９９９年４月の町議選に立候補、初当選。以来、通算４期１６年間にわたって豊富な経験と卓抜した見識で重責を担った。

　１市３町の合併後は延岡市議会議員としても活躍。１７年からは議長を務めるなど、新生延岡市の発展にも力を尽くした。

　現在は県内水面漁場管理委員、北浦内水面漁業協同組合長を兼務しながら、５０年以上連れ添う妻絹代さん（７１）の手伝いにも精を出す。「迷惑を掛けたが、ずっと支えてくれた一番の協力者。末永く仲良くできれば」と感謝。今後は「行政や地域の活動をできる範囲でサポートしたい」と語った。

◆旭日双光章＝地方自治功労＝成崎孝孜さん（８５）諸塚村家代
村政発展に尽くした１２年

　１９５５年に諸塚村役場に入職。収入役、助役を歴任後、２００３年から３期１２年間村長を務め、自治公民館組織を中心に根付く相互扶助の精神を生かしながら、林業振興など村政発展に尽力した。

　０４年には「平成の大合併」を進める東臼杵南部合併協議会からの離脱を決断し、自立の道を選択。０５年には、商店街などに大きな被害をもたらした台風１４号の襲来を受け、復旧復興に全力で取り組んだ。また、１１年からは４年間、全国森林環境税創設促進連盟で九州ブロック選出の副会長を務め、森林環境税の制度創設に貢献。「村民に顔を向け、村民の声を聞く。その姿勢を常に心に留めてきた」と振り返る。

　受章の報に「戸惑っています」と控えめ。「半分は家内のおかげでしょうか」と少し照れつつ、支えてくれた妻初江さん（８０）に感謝する。

◆旭日単光章＝地方自治功労＝廣瀨武男さん（７６）延岡市大貫町
地域のまとめ役として奮闘

　「受章は地域住民の協力や、健康を気遣いながら静かに送り出してくれた妻のおかげ」と感謝する。

　旭化成を退職後、２００２年に地域住民からの推薦で延岡市大貫町４区区長に就任。住民に楽しんでほしいと、地区の運動会や七夕、クリスマス会など高齢者と子どもたちの交流の場を企画してきた。

　また、川中地区区長会会長や中央地区社会福祉協議会会長、区長連絡協議会理事、民生・児童委員、県北の地域医療を守る会会長も歴任。「地域の安心安全を第一に」と考え、市民の声に耳を傾けて丁寧にアドバイスするなど、地域のために奮闘する。

　「活動内容は大変だが、みんなと顔見知りになったことが一番良かった」とこれまでを振り返り、「これからもできる限りのことをしていきたい」と話す。

◆瑞宝双光章＝更生保護功労＝佐藤公英さん（７０）延岡市北小路
保護司３６年、更生支える

　「まさか自分が受章するするとは思っていなかったので、びっくりしました」と率直な感想。

　延岡市北小路の城影寺住職としての仕事の傍ら、父の後を継ぎ１９８５年９月１日から保護司に。以来３６年にわたって非行や罪を犯した人の更生に尽くしている。

　これまで数多くの指導を行ってきたが、対話で一番心掛けていることは「話しやすい人間関係をつくること」。対象者とは常に何気ない会話を心掛け、「普通に仕事して、生きていればそれでいい」と呼び掛ける。「最終的に更生してくれることが一番うれしいし、ほっとします」と語る。

　現在は延岡地区保護司会岡富支部の支部長。８１年からは宮崎刑務所の教誨（きょうかい）師。２０００年からは調停委員も務める。「私自身、いろいろなことを学ばせてもらっている。父を含め周りの人たちに感謝です」

◆瑞宝中綬章＝教育研究功労＝髙崎眞弓さん（８０）宮崎市清武町
２年間、九保大学長務める

　九州保健福祉大学（延岡市吉野町）の前学長。

　１９６７年、札幌医科大学卒。７２年、同大学院医学研究科修了。宮崎医科大学（当時）教授、宮崎大学医学部付属病院副病院長、同学部副学部長、宮崎大学理事（病院担当）・病院長などを経て２０１１年から九州保健福祉大学総合医療専門学校（宮崎市）の校長。１８年から２０年まで同大学学長を務めた。

　現在は宮崎大学名誉教授。（写真は九州保健福祉大学提供）