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日向市地震・津波対策訓練

本紙掲載日:2021-11-05
3面
FMB(左手前)の中から指示書を取り出し役割を割り振る職員(日向市役所)
指示書を見ながら作業する職員

登庁1人目がまず対応

◆防災行動ツール・FMBを活用し訓練

 2021年度日向市地震・津波対策訓練がこのほど、市役所を主会場に行われた。災害時の初動対応を迅速に行うための防災行動ツール「ファーストミッションボックス(FMB)」を使用した災害対策本部設置訓練や、各自治体による避難訓練を実施し、防災意識の高揚を図った。FMBの作成、使用訓練は県内初という。

 FMBは、災害対策本部や避難所などの活用拠点において、最初(First)に参集した人たちが迅速かつ的確に初動対応できるように任務(Mission)を記載した指示書と最低限必要な事務用品を一つの箱(Box)にまとめたもの。一般社団法人「危機管理教育研究所」の国崎信江氏と長野県飯田市が考案した。

 災害が発生した際に重要なのは、迅速に災害対策本部を設置し、状況を把握することとされる。しかし、市の現状では、防災推進課職員でなければ本部設置ができないため、今後は市職員の誰でも本部設置をできるようFMBを作成した。

 災害対策本部設置訓練には、防災推進課を除く10課から各1人が参加。FMBの概要の説明を受けた後、訓練を行った。

 最初に登庁した職員がFMBを開け、中にあった1〜20の指示書を順を追って読みながら作業を進めた。災害対策本部室を解錠し、テレビをつけて情報収集。ホワイトボードの設置などをしていると、2人、3人と除々に職員が登庁してきた。

 最初の職員がリーダーとなり、指示書に沿って庁舎内の見回りやインターネットを接続するためのLANケーブルなどの配線を行うよう呼び掛け。それぞれの職員が手分けして、地図台を広げたり、電話が正常に使えるかどうかの確認などを行った。

 その間、リーダーが所持する無線には、各地域の被害や避難所の状況が次々に入り、そのたびにホワイトボードに情報を記入。電話受付係を2人決め、災害対策本部予備室の設置を終えた頃に、防災担当職員が登庁。現状を報告して引き継ぎし、訓練を終えた。

 職員らは、指示書を見ながら行動するも、初めての作業に苦戦。複数で動くため、途中で指示書が無くなったり、手持ち無沙汰になったりする場面もあった。

 訓練は、同じ人員で登庁順(役割)を変えて2回実施。初回は、防災担当への引き継ぎまでに約45分を要したが、要領を得た2回目は約半分の時間で完了していた。終了後は、訓練の感想や指示書の改善点などについて意見を交わした。

 登庁1人目の役を務めた総務課の野別秀二課長は「同時多発的に情報が入ってくるため、何を最優先すべきか判断に迷った。指示書を他の職員に持たせて任せると、ミッションがどこまで進んでいるか分からなくなり大変だった。日頃からの訓練が大事だと感じた」と振り返った。

 訓練を見守った防災推進課の多田好太郎課長は、「リーダーの負担が大きいことや指示書の表示についてなどの意見も出た。最終的には全職員に参加してもらう予定。改善を図りながら定期的に訓練を実施し、迅速な対応ができるようにしたい」と話した。

 この日は、職員による災害対策本部設置訓練のほか、飯谷区、幸脇区
比良区、山下区の住民による避難訓練、消防団によるツイッター情報伝達訓練も行われた。

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