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教訓生かし、災害への備え

本紙掲載日:2021-11-05
2面
旭中の生徒にオンラインで講話した吉村代表(右)と永田さん

旭中・熊本地震の被災者に学ぶ

 災害への備えや、いざという時の行動について学ぼうと、延岡市の旭中学校(池野宗宏校長、223人)はこのほど、防災講話を開いた。同校と2016年に発生した熊本地震の被災地、熊本県益城町とをオンラインで結び、被災した人たちから当時の状況や地震で得た教訓などについて学んだ。

◆「助けて」言い合える仲間

 講師は、NPO法人「益城だいすきプロジェクト気ままに」の吉村静代代表、熊本で語り部として活動する永田忠幸さん。「熊本地震を経験して伝えたいこと」と題して話した。

 まず、吉村代表が熊本地震を回想。益城町に住む80%の人が避難所生活を余儀なくされたことや、避難後も4千回以上の揺れに耐えながら生活していたことなどを紹介した。また、避難所での生活を振り返り、体育館内の区画整理や声掛けなどを行ったことで「4カ月ほどたった頃には家族のような絆が生まれていた」と語った。

 地震から得た教訓としては、▽日頃から身の回りのことは自分でする「自助」▽薬や水などの準備や心構えに至るまで災害に対する「備え」▽周りと助け合って物事を良い方向に向かわせる「共助」――の三つを挙げ、「いざという時に『助けて』を言い合える仲間を、これからたくさんつくっていってほしい」と呼び掛けた。

◆地名・伝説に意識向けて

 永田さんは、日本各地の伝承やバックパッカーとしての経験談を交えながら講話。各地に伝わる大蛇伝説を取り上げ、「地震のメカニズムが解明される前、大地の揺れを大蛇や竜など巨大な生物のせいと考えることは不思議なことではない」とし、熊本にある蛇ケ谷(じゃがたに)、鯰(なまず)などの地名を例に「このような名称は、地震を経験した祖先が、後に住む私たちのために残した『気を付けなさい』というメッセージの可能性がある」と解説。「自分が住んでいる場所、これから住む場所の地名や伝説に対して意識を向けていってほしい」と話した。

 また、仮説住宅で生活していた頃に「困ったこと、大変なことはないか」という文言のアンケートが回ってきて頭を抱えたエピソードを紹介。「『困ったことはないか』と聞かれると、困っている所を見つけようとしてしまう」と話し、「人間は、どう物事を見るかで意識できるものが変わってくる」と指摘。

 例えば「地震のせいで」と捉えると失ったものばかりに目がいきがちだが、「地震のおかげで」と考えることで、気付けたことや出会えた人たちなど得たものがたくさん見つかってくるという。そして、その心の持ち方、在り方こそ「地震を経験した自分が、自然災害と向き合って生きていくこれからの世代に伝えたいこと」と総括した。

 2年の茂夢音さん(14)は「吉村さんのいつ地震が起きるか分からない状況で、避難所で生活していたという話と、永田さんの『地震のおかげで』という考え方が特に印象に残った。これからの学習をクラスのみんなで協力して取り組んでいきたい」と話した。

 今後、生徒たちは年間を通して防災学習を行う。1年生は地域の点検、2年生は避難所でのプライバシーを守るパーティション作り、3年生は避難所運営のゲームを通して、災害発生時に主体的に動ける避難者を目指すという。

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