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猪々掛祭−笹振り神楽を奉納

本紙掲載日:2022-01-05
3面
イノシシなどを供えた神前で笹振り神楽を奉納した猪々掛祭

高千穂神社で古神事−荒ぶる神鬼八に由来

 鬼八伝説に由来する霜よけの神事「猪々掛(ししかけ)祭」が5日、高千穂町の高千穂神社(後藤俊彦宮司)であった。氏子総代ら約30人が参列、高千穂神楽の原型とされる「笹(ささ)振り神楽」が奉納され、五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願した。

 猪々掛祭は、高千穂地方で悪行をしていた荒神「鬼八」を、神武天皇の兄で同神社の祭神ミケイリヌノミコトが退治した伝説に由来する古神事。毎年、旧暦12月3日に行われている。

 神事では、同町上野の山中で仕留められた約50キロのイノシシ1頭と、大小二つの木鉢に盛られた新穀を供えた神前で、後藤宮司らが笹振り神楽を奉納した。

 三田井地区神楽保存会による太鼓と笛の音に合わせ、「しのべやたんぐあぁんさありやさそふまあどかやささふりたちばな」と唱える「鬼八眠らせ歌」を口ずさみながら両手に持った笹をゆったりと左右に振った。

 伝説では、ミケイリヌノミコトに退治された鬼八の悪霊が早霜を降らせるなど災いをもたらしたため、その霊を三つに切り離して埋めたという。

 里人は鬼八の霊魂を慰めるため、霜が降る頃に人身御供として乙女をささげていたが、天正年間、日之影町の岩井川城主甲斐宗摂の献策で乙女の身代わりに猪肉を供えるようになったとされている。

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