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のべおか笑銀座−思い出かみしめ修了式

本紙掲載日:2022-01-13
6面

「シニア世代でもできる」伝えた

◆実広さん、15年間ありがとうございました

 延岡市のシニア劇団「のべおか笑銀座(しょうぎんざ)」(橋本由香里座長)の修了式が昨年12月19日、延岡総合文化センターであった。11月に行った第14回公演「おーい、生きてるよー」の成功を喜ぶとともに、劇団設立以降15年にわたって脚本、演出担当として劇団を指導し、年齢や体調などの理由で同公演を最後に退いた劇団ぐるーぷ連代表の実広健士さん(78)=宮崎市=に感謝した。

 同団は2006年、翌春に控えていた団塊世代の大量退職に合わせ、シニア世代を文化活動に引き込もうと延岡総合文化センターが設立。作・演出を実広さんが務め、毎年結団式を行い、1年に1回公演してきた。

 式では、来賓で同センターを運営するのべおか文化事業団の稲田和利理事長が「長きにわたり、団員の養成、劇団の継続などを支えていただいた」と、実広さんに感謝状と記念品を贈った。

 実広さんは「長い間ありがとうございました。皆さんと一緒にお芝居を作ろうよと声を掛けて楽しく作ってきました。楽しい活動ができました」と一言一言かみしめるようにあいさつ。「心配はこの後どうなるかということ。筋道を付けて辞めることができませんでした。ごめんなさい」と思いやった。

 14人の団員も思い出を振り返った。1期から続けた吉岡綾子さん(74)は「『自分の人生が、他のことをすれば変わるかな。やってみたいな』と始めた。楽しい演劇時代を過ごしたと思います」と涙。甲斐キミ子さん(75)は「演劇に出会わなかったら、11年間どうして過ごしていただろうかと思う。原点は実広さんの指導。楽しくわくわくドキドキして11年間を送らせていただいた」。

 体調を理由に14回公演への参加は辞退するつもりだったという三樹春美さん(72)は「実広先生に電話をしたら『一緒にやりましょう』と言われ、その一言でやってみようと思った。皆さんに、先生に出会えて、きょうまで頑張ってきてよかった。私たちの年代でもできるんだと伝えられたんじゃないかと思う」。今回が初舞台だった新人からベテランまで、思い出や苦労話、感謝の言葉を語り、「本当に幸せだった」「縁を大切にしたい」と思いがあふれた。

 実広さんも、各団員への思いを記した修了証を読み上げながら授与。「最も足腰がしっかりしているのに(劇中で)車いすをあてがわれ、自由を奪われました」「どうして本番で(だけ)できるのでしょうか」「褒めるとやり過ぎになるので褒めませんでした」など、間近で成長を見てきた実広さんならではの愛のこもった言葉が団員一人一人に贈られた。

◆機が熟せば再開

 今後は指導者、演出家が決まっていないことなどから、しばらくは活動を休止する。団員の中には、笑銀座とは別に個人で演劇の活動をしている人も多く、「15年間を土台にそれぞれで動き続けると思う」と橋本座長(64)。朗読サークルを立ち上げ、自分たちだけでもできる活動から始めようという案も上がっており、「これまで築き上げたネットワークを持ち続け、機が熟せばすぐに再開できるようにしたい」と話した。

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