バス停に手作りベンチ

作業台に座る姿に佐藤さんがＳＮＳ投稿−国道３２７号沿い日向市塩見の笹河

◆２社が協力−材料、製作を無償で

　日向市塩見の笹河バス停に手作りのベンチが設置された。近くの農業佐藤未樹崇さん（４２）が投稿したＳＮＳをきっかけに無償で作られたもので、「とても立派なベンチ。ぜひ大切に使ってほしい」と話している。

　国道３２７号沿いの同バス停。すぐそばは佐藤さんの所有地で佐藤さんの畑で取れたトマトを売る自動販売機も設置している。

　昨年１１月、佐藤さんが同所を通りかかったところ、自販機からトマトを取り出すための踏み台として置いていたコンテナボックスに、高校生２人が座っているのを見つけた。声を掛けたところ、「バスを待っていて座る場所がないので座っていた」と話したという。

　それ以降、同所を通る際は、立ってバスを待つ人の姿が目に付くようになった。なかには高齢者もいたため、ベンチが置けないかと考え、１１月１９日にＳＮＳにベンチの提供を呼び掛ける投稿をした。

　するとすぐに、投稿を見た就労継続支援Ａ型事業所「ＨＲＣｐｌｕｓ」＝日向市上町＝の職業指導員丸藤巌さん（４３）から「材料があればベンチを作ろうか」とメッセージが届いた。

　さらには、製材会社「グロースリング」＝同市日知屋＝社長、岸本泰生さん（６２）から木材提供の申し出があり、投稿から約１時間でベンチ製作が決まったという。

　製作を担当する丸藤さんのもとには、グロースリングが「百年木材」と銘打って事業展開する樹齢１００年以上の国産木材、スギの約２メートルの一枚板２枚が届いた。寸法に合わせてカットした後、かんなで削り、サンドペーパーで丁寧に仕上げた。完成したベンチは、１月１１日にバス停そばに設置された。長さ１・３メートルほどで大人３人が座れるサイズ。防虫防腐処理も施されている。

　佐藤さんと丸藤さんはもともと知り合いだったが、岸本さんはＳＮＳの交流のみで、２人と顔を合わせたことはなかった。

　佐藤さんは「素晴らしいベンチができたことはもちろんだが、ＳＮＳの投稿がきっかけで異業種が交流し、このような取り組みができたことがうれしい」と感激。

　岸本さんは昨年から塩見にギャラリーをつくっており、「立派なベンチに仕上がっている。今後も地域貢献ができれば」。丸藤さんは「こんな貴重な木材が届くと思っていなかったので、とても緊張した。ぜひ活用してほしい」と話した。

　佐藤さんは今回の取り組みを機に、異業種の人たちが交流する「ひなたベンチの会」をつくり、活動していくという。