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日向備長炭の歴史、炭焼きの暮らし

本紙掲載日:2022-04-15
2面

原木目線ドキュメンタリー映像

◆ユーチューブで公開−美郷

 美郷町産の日向備長炭を取り上げたドキュメンタリー映像「アラカシ」が、同町のユーチューブチャンネルに公開されている。延岡市稲葉崎町のオノコボデザイン(小野信介代表)が制作。小野代表は「炭焼きにたくさんの人が関わっていること、そのコミュニティーが今も生きていること、それが環境を守っていることを知ってもらいたい」と願いを込める。

 ドキュメンタリーでは、備長炭の原木「アラカシ」が語り手となり、製炭方法や同町の備長炭の歴史、自然の循環の中で生きる炭焼きの暮らし、それが里山の保全に寄与している様子などを、情緒豊かな映像とともに伝えている。

 アラカシ目線にした理由を小野代表は「視聴者にアラカシになってもらえれば、森や窯の中のこと、炭として人の役に立ち、再び二酸化炭素になって植物に戻っていくことが、理解しやすくなると思ったから」と話す。

 ナレーションは「アラカシにキャラクターを持たせないように」と、フラットな感情の声になるよう工夫。撮影は昨年10月中旬に開始し、現場の時間の流れや雰囲気が伝わるよう「カメラは固定、長回しし、音もしっかり録れるよう意識した」と振り返る。

 先月下旬、約22分の動画が完成。「ウェブ動画は短いものしか視聴されない風潮だが、あえて長いカットや無音、黒画面のカットを多用した。また、環境音を重視してBGMを極力使わない構成にした」とこだわった。

 小野代表は「ふるさとで育ち、苦労し、鍛えられ、人の役に立って役目を終え、また次の世代に命をつないでいく―。単なる材料としてのアラカシではなく、人間と同じよう人格を持ったモノとして感じてもらえたらうれしい」と語る。

 町は制作に県の事業を活用。担当者は、備長炭製炭の県無形民俗文化財指定を受け「今後は産業ではなく、町の文化として捉えたい」と話し、映像は「色んな人に見てほしい。これを機に炭焼きになろうと思う人がいたら」と期待を寄せた。

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