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ココカラSDGs−第13回「魚(水産)から考えるSDGsアクション」

本紙掲載日:2022-04-27
6面

▽社会の利益とどうつながるか−税田さん
▽チョウザメをペットフード化、命伝えたい−築地さん
▽低魚粉飼料に賛同、海の資源守りたい−木下さん
▽SDGs達成を左右する目標12−難波さん

 今注目のSDGs(エスディージーズ)をテーマに、地域や地球の未来を共に考えるFMのべおかの番組「ココカラSDGs」の第13回「魚(水産)から考えるSDGsアクション」が、21日に放送された。内容を一部抜粋して紹介する。

 アドバイザーはSDGsコミュニケーターの難波裕扶子さん(49)=シンク・オブ・アザーズ代表、日向市亀崎西=。ゲストはグローバル・クリーン=日向市亀崎=専務の税田倫子さん(45)、九州築地=宮崎市=代表の築地加代子さん(54)、木下水産=延岡市島浦町=専務の木下拓磨さん(34)。


−−第13回のテーマは「魚(水産)から考えるSDGsアクション」です。

〈難波〉昨年4月にスタートした「ココカラSDGs」ですが、おかげさまで2年目を迎えました。ある調査によると、「SDGsを知っている」という人は、2人に1人(50%)だったおととしから、昨年は78%に増え、認知度は上がってきています。そして今、SDGsのフェーズ(段階)は「認知」から「アクション」へ変わってきていると言われています。
そこで今年度はアクションをキーワードに、SDGsを達成するために思いを持って具体的に取り組んでいる皆さんをゲストに、さらに深掘りしていきたいと思っています。
今回は4月13日の「水産デー」にちなみ、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」について、水産の視点から考えていきます。

−−では築地さん、自己紹介をお願いします。

〈築地〉私は離婚をきっかけに、九州築地の代表に就任しました。九州築地は祖父の代から続く活魚・鮮魚の卸販売会社で、幼い頃からその後ろ姿を見て育ちました。
ただ経営となると全くの別問題で、私は学校を卒業後、すぐに結婚をして長く専業主婦として過ごしていたため、代表に就任した時には「女が代表の会社はすぐつぶれるぞ」などと、周囲からあれこれ言われたものです。
それでも一歩踏み込んでみると、さまざまな矛盾や疑問が出てきて「宮崎県の中心である台所がこれでいいのかな」と真剣に悩むことが多くなりました。振り返ると、私のそこからの11年間は、その疑問点つぶしだったと思います。
宮崎県の宝物、それは自然と向き合いながら丁寧に仕事をしている生産者の皆さん、そこで育てられている魚たち、それを育む自然です。そのことを表に出して多くの人に価値を伝えることが、私たちの使命だと考えています。

−−続いて木下さん、自己紹介をお願いします。

〈木下〉島浦町で祖父の代から続くタイの養殖を行っています。小さい頃から現場で働く父親の姿を見たり手伝ったりしていて、将来は自分も島に帰って父親の仕事を継ぎたいと思っていました。
小学校、中学校時代は島で過ごし、高校入学と同時に延岡市へ。その後、鹿児島県内の大学に進学し、卒業後に1年間、タイに餌として与えている配合飼料を作る会社に一度就職し、そこで養殖の餌について勉強しました。
その後、島に帰って木下水産に就職したのが約10年前のことです。自然相手の仕事なのでとても大変ですが、その分やりがいを感じています。

−−続いて税田さん、自己紹介をお願いします。

〈税田〉グローバル・クリーンは清掃・ビルメンテナンス業、不動産業を手掛けています。いろいろなものをきれいにする仕事なので、薬剤や化学物質を含んだ洗剤を扱っています。当然それらを多く含んだ洗剤を使えば簡単にきれいになるのですが、それを使って作業する従業員さんはもちろん、お客さまの商品などへの影響を考えながら、電解水や純水といった機能水を導入するなど、脱洗剤や脱薬剤にも興味を持って取り組んでいます。

−−実は、3人には接点があるそうですね。

〈税田〉先ほど話した電解水ですが、弊社は水を電気分解して、洗浄力の高いアルカリ水と殺菌力の高い酸性水に分ける機械を取り扱っています。九州築地さんには、魚の加工現場の衛生管理向上のために導入していただいています。おいしいだけではなく、より安心安全なものをお客さまにお届けしたいという築地さんの思いに感銘を受けました。

〈築地〉私は7、8年前に木下水産さんのタイと出会いました。当時、県内の市場に出回っていたタイは、ほとんど愛媛県産や熊本県産で占められていました。どうして県産がないのか疑問に思って関係者に聞いたら「あんまり良いタイがない」と言われて。
でも、私は自分の目で確かめないと信じないタイプなので、本当にそうなのかなと思って、いろいろ人に聞いて回ったら、どうやら島浦町に素晴らしいタイを養殖している人がいるらしいと聞いて、すぐに足を運びました。それが「しまうら真鯛(まだい)」、木下水産さんとの出会いとなりました。

〈木下〉自分の育てている魚に自信がないと日頃の仕事も頑張れません。築地さんの目に留めていただいたことで、ホテルや旅館の関係者から「おいしい」と言ってもらいました。実はそれまで、食べてもらった消費者の声を聞く機会がなかったので、その時、初めて生産者としての喜びを感じることができました。築地さんのおかげです。

−−かなり工夫して養殖に取り組まれていると聞いています。

〈木下〉潮の流れが速いことや、一年を通して水温の差があまりないことなど、島の環境そのものが、とても養殖に適しています。また、環境に負荷をかけない配合飼料を餌として与えるなど、育て方もいろいろと工夫しています。

−−ここで、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」について、少し詳しく教えてもらえますか。

〈難波〉目標12「つくる責任つかう責任」はSDGs達成の可否を左右すると言われている、とても大切な目標です。
人口爆発によって世界の人口は、2050年に98億人に達すると言われており、私たちが現在のような生活を続けるためには地球3個分の資源が必要だと言われています。それくらい私たちは資源を使い続けているのです。
これを何とか解決するために、大量生産と大量消費のシステムを変えていくために設けられたのが目標12なのです。

−−税田さんは事業者として、目標12をどう思われますか。

〈税田〉損益が成り立たないと会社は事業を続けていくことができません。しかし、損益だけを成り立たせればいいということではありません。コストカットをするための方法が、どのような人に影響を与えるのか。
つまり、会社の数字だけではなく、社会全体の利益とどのようにつながっていくのか、という点を同時に考えなければいけません。つくる側、つかう側の全員がそのことを考えることができて、初めて成り立っていくのではないかと思います。

−−築地さんは「つくる側」として目標12を達成するために積極的に取り組まれています。

〈築地〉私はこの仕事を通して、命の在り方を伝えていきたいと思うようになりました。ありとあらゆるものが、自分の存在価値を認めることができる世の中であればいいなと考えています。
弊社は約10年前からチョウザメを取り扱っています。宮崎市ではキャビア事業を目指して30年以上前から研究が続けられており、7、8年前からキャビアが生産されています。
一方で、雄の魚肉やキャビアを取り除いた後の雌の魚肉の取り扱いが、とても大きな問題だと私は捉えていました。チョウザメは認知度がなく、世の中に広まっていくスピードが非常に遅かった。そのため、チョウザメが捨てられている光景を目にした時は、胸が痛かったです。
チョウザメは約3億年前から存在しており、臭いもなく、フグやタイに近い白身の魚です。皮の60%がコラーゲンですし、カルノシンというアミノ酸もとても豊富で認知症などを予防します。また、ビタミンBもとても豊富で、100グラムで一日のビタミンBが摂取できるくらいの栄養があります。それほど魅力的な魚なのです。
「命の在り方を伝えていきたい」との思いもあったため、なんとかしてチョウザメを表に出していきたいと思うようになりました。そこで、コロナ禍で時間があったので県水産試験場で試作を重ね、1年半ほどかけてペットフードとして商品化しました。
また、チョウザメの認知度を高めることで、皆さんが自然環境や歴史などを考えるきっかけになればと思い、クラウドファンディングにも挑戦しました。おかげさまで目標金額の500%を超え、200人近くの方々に応援していただきました。

〈難波〉存在意義、存在価値などの付加価値を高めていくことができたのは愛があったからだと思います。共感し、お金を払ってでも応援したいという方々がいたということは大きな社会変革です。築地さんという一つのプラットフォームに、いろいろな思いを持った皆さんがくっついてきて、イノベーション(変革)を起こしているのです。

〈木下〉タイを専門に養殖していますが、全国には同じような人がたくさんいます。その中で、どのように弊社のタイを売るのか考えたときに、いろいろな人に食べてもらって、その人の感想を一つずつ受け取って勉強することが大事になります。
畜産では牛や豚の品評会があります。その品評会をタイで行っても面白いと思います。他の所で育ったタイを食べる機会がないので、そのように集まる場があれば情報も共有できるのではないかと思っています。

−−「水産」という視点から、社会や未来を持続可能にしていくために、どのような課題があると考えていますか。

〈木下〉養殖にはもちろん餌が必要になります。その餌の成分はほとんどが魚です。1キロのタイを育てるには餌に4キロほどの魚が必要です。多くの魚の犠牲の下でできていることです。
餌のメーカーでは動物タンパクから植物タンパクへ移行していくという考え方が広まっています。動物タンパクは魚粉ですが、今では低魚粉飼料が開発されています。弊社も賛同しており、積極的に低魚粉飼料を使っています。
その結果、実績が良いタイができ、成長も悪くないというデータも出ています。積極的に利用することで、海の資源を守っていければと思っています。飼料の食べ残しがあると海底に沈み、海を汚すことになります。そのため弊社では、魚の食べ方をしっかり見て、必要最低限の餌を与えるようにしています。

〈築地〉ミシュランガイドで星を獲得している東京都内のあるレストランのシェフがチョウザメに注目しており、余すことなく使う取り組みを少しずつ広めています。命の大切さを伝えるためには深く広げることが大事だと話していました。
これまで魚肉だけを使用するのが一般的でしたが、そのシェフは皮や軟骨、ほほ肉も調理し、料理には余すところなく使ってあげたいという気持ちがあふれ出ていました。

−−最後に、皆さんの「ありたい未来」を教えてください。

〈税田〉自分がどのような環境に置かれていても、目の前の幸せをしっかりと感じられることを自分の子どもたちにも常々言っています。自分の置かれている状況が本当に幸せに感じられる社会につながればいいなと思います。

〈木下〉自分は島で生まれ、特殊な環境で育ちました。自分が生まれ育った地元を皆さんに大切にしてほしいです。生まれ育った地域の人から愛情を受けて育っていることを感じてほしいという思いがあります。自分の島も人口が減って高齢化の状態です。いろいろな人と全面的に協力して、若い人たちで島を盛り上げていきたいです。

〈築地〉未来の子どもたちや地球上のみんなが、生きる喜びにあふれるような未来をつくりたいです。遠くを見たビジョンと今自分が成すべきミッションを俯瞰(ふかん)しながら、分かっているのにやらないことや諦めそうになっていることがあれば、一歩踏み出す勇気を持って、自分の未来は自分でつくること。主導権を握って自分の人生を生きていくことを大切にしたいと思っています。

(おわり)

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