５月１日、愛玩動物看護師法が施行

国家資格となった動物病院看護師

◆九州で唯一・九保大が養成大学に

　動物病院に勤務する動物看護師を国家資格とする「愛玩動物看護師法」が５月１日に施行されるのに伴い、延岡市吉野町の九州保健福祉大学が九州では唯一、国家試験の受験資格を得られる養成大学に認められた。

　愛玩動物看護師法はペットが家族の一員という考え方が定着する中、動物病院が提供する獣医療の高度化と多様化を目的に、２０１９年６月に制定。最初の国家試験は来年２月に実施予定で、合格すれば医師の指示の下、現在は認められていない採血や投薬などの医療行為ができるようになる。

　同法が定める愛玩動物とは犬、猫、愛玩鳥で、ウサギやハムスター、カメなどは含まれない。資格者は飼い主や動物により近い存在として、ペットの栄養管理などに関する専門的な助言・指導も担う。

　また、人と動物の関わり方として注目される動物介在教育やペットセラピーの支援、ペットショップで指導的役割を果たす動物取り扱い責任者など、幅広い役割、活躍が期待されている。

　現在の動物看護師は認定資格で、九保大では薬学部動物生命薬科学科が獣医師（フィリピン国立大学ロスバニョス校獣医学部留学含む）や実験動物一級技術者、学芸員資格者と並んで養成。現在まで４年連続、延べ９年間合格率１００％の高い実績を誇り、獣医師も今春合格の４人を含む８人を輩出している。

　愛玩動物看護師の資格取得に向けては、これまでの基礎動物学や臨床動物看護学などに加え、新たに愛護・適正飼養学として適正飼養指導論や動物生活環境学、ペット関連産業概論を設けることで、国家試験の受験に必要な計１８００時間の授業を確保した。

　卒業生や在学生のうち、認定資格に必要なカリキュラムを学んでいれば、国が指定する講習会を修了することで受験資格が得られる。動物病院勤務の看護師らは、愛玩動物に関する５年以上の実務経験を条件に、講習会を修了し、予備試験に合格すれば受験が可能となる。

　国家資格となったことで、これまで養成期間が１〜２年間だった専門学校にも最低３年の履修を義務化。受験資格取得が認められた大学は３月末現在、全国１２カ所で、九保大の明石敏動物生命薬科学科長は「国家資格化は高度医療と適正な飼養を重視しており、大学では４年間かけて、テクニックだけではなく必要な学びを深めることができる」としている。

　また、国家資格となることで動物看護師の処遇向上も期待される。資格取得を目指す同学科２年の篠原千織さん（１９）は「将来は動物病院で働きたいので、動物のことをちゃんと知っておく必要がある。基礎的なことからしっかりと学びたい」と、意欲を語った。