進化した装具展示説明会−日本オストミー協会県支部

オストメイトや家族に紹介−情報交換や交流

　日本オストミー協会宮崎県支部（甲斐まゆみ支部長）の「装具の展示・説明会＆交流会」が５月２７日、延岡市三ツ瀬町の市社会福祉センターであり、人工肛門・人工ぼうこう（ストーマ）の保有者（オストメイト）や家族らに喜ばれた。

　オストメイトが排せつの管理に欠かせないストーマ装具は、専門の業者でしか買えず、大きさや種類、価格ともさまざまで、手入れも人によって異なる。

　オストメイトは増加傾向にあり、甲斐支部長らの調査では延岡市内だけでも現在２３０人以上、県全体では２０００人を超えるが、これらの知識や情報を得られる環境は十分に整っておらず、知らないまま自分に合わない装具を使用している当事者は多いという。

　性別や体格、体質、仕事など個々に即した装具やケア計画は、オストメイト専用の「ストーマ外来」で提供しているが、県北に同外来があるのは県立延岡病院のみ。

　甲斐支部長らによると、「かかりつけ医に紹介状を書いてもらえば受診できるが、その存在自体を知らなかったり、決められた装具しか使えないと思い込んで諦めている人も相当数いる」といい、何とか情報を届けたいと試行錯誤を続けている。

　そこで今回初めて、装具の展示・説明会を企画。主要な装具メーカーが参加し、最新の商品をずらりと展示して、スタッフが個別相談に応じた。

　会場には当事者らが訪れ、日々使用する装具類について不便に感じる点などを次々と相談。２５年前に人工ぼうこうを造設したという来場者の市内男性（８７）は、「サイズを含め、利用者それぞれに合う商品、合わない商品があるので、こうして新商品を紹介してもらえる場があるとありがたい」と感謝した。

　また、来場者同士が交流する機会にもなり、それぞれざっくばらんに情報交換。商品を出展したオストミーサポートセンター（宮崎市清武町）の柳田尚享社長は、「家族でもなかなか当事者の悩みなどは分からず、同じ境遇の人同士が触れ合える場は貴重」と評価した。

　一方、「用具は進化して臭いは全く気にならず、タクシー運転手の当事者も自信を持って仕事をしている」と強調。オストメイトに対する周囲の偏見が解消し、理解が広まることを期待した。

　県北での商品展示・相談会を無事開くことができ、甲斐支部長は「会員は宮崎市を中心に集まってきたが、高齢者も多くなり、新型コロナもあって負担が大きかった。当事者は２０００人もいるので、これを機に、せめて市や町単位で交流を持ち、情報や悩みを共有していければ」と話している。