「ひなたＷＯＭＡＮ」（８７）イラストレーター（延岡市）久保木（旧姓中森）亜紀さん

絵で地域を元気に

　卸本町にある車のトータルサポート店の看板。インコと象が、イエローやピンクなど南国カラーの花に包まれ、くつろぐさまを異国情緒あふれるタッチで表した。

　「人懐っこいインコには人が集まる店にとの願いを込め、堂々とした象には頼もしい存在としてのオーナーをイメージしました」

　延岡共立病院健診センターの壁面も手掛けた。東南アジアに多く見られ、黄色い花が「希望」などを連想させるゴールデンシャワーの大樹を描いた。

　野地町生まれ。尚学館中学校・高等部から多摩美大グラフィックデザイン科に進み、３０歳で帰郷。市制施行８０周年のロゴなどの制作の傍ら、アートスクールで後進の指導にも当たっていたが、転機は突然に訪れた。

　「あれこれ悩んでいた２０１５年に、妹とたまたまタイ旅行に出掛けたんです。経済成長が目覚ましくて国全体に活気があり、いろんな人を受け入れる社会の寛容さにも大いに刺激を受けました」

　ここなら自分の生き方、信念を貫けると確信したという。１カ月後には移住を決意。プロサッカー選手として単身で現地に渡っていた今の夫とも出会えた。夫はその後、Ｊリーグ参入を目指すＦＣ延岡ＡＧＡＴＡのコーチに就任、昨夏、まさかの帰郷が実現した。

　「もともとの色使いや感性はふるさとで培われたもの。同じ自然豊かなタイの地で創作意欲が高まり、見た人が明るく元気になれるような作風に変わったのは必然だったように思います」

　趣味は２９歳で始めたサーフィン。ＦＣ延岡ＡＧＡＴＡの熱きサポーターでもある。

　「この仕事の面白さは、直接会わない人ともつながれるという点。絵を通して地域の活性化に少しでも貢献できたらうれしいです」