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もしも治らない病気になったら−

本紙掲載日:2022-06-22
3面
人生の最終段階について考えた「人生会議だョ!全員集合」
企画した岩谷健志医師

岩谷医師がワークショップ−その時を前に「人生会議」


◆どうしたいか家族で話を

 もしも治らない病気になったら――。いざその時を前に、自分や家族の人生の最終段階について考えるワークショップ「人生会議だョ!全員集合」が18日、延岡市の市駅前複合施設エンクロスで開かれた。市民ら40人が参加し、多様な価値観や選択肢に触れた。

 企画したのは、来月1日に市内で初となる在宅医療専門の診療所「縁(えん)・在宅クリニック」を開院する同市島浦町出身の岩谷健志医師(34)。

 熊本県内の医療機関で救急医として働いていた6年前、祖父を亡くした。祖父は同町で生まれ育ち「最期は島で」と願っていたという。ただ当時、自身も含め家族は「島だから」「延岡だから」とあきらめ、市内医療機関の緩和ケア病棟でみとった。そんな経験も踏まえ、今回のワークショップを開いた。

 参加者は10グループに分かれて、もしも治らない病気になったら▽どんな治療やケアを受けて過ごしたいか▽どこで過ごしたいか▽自分で決められなくなったら代わりに誰に話し合ってほしいか−−などについて考えた。各グループにはファシリテーター(進行役)として看護師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、理学療法士ら在宅医療を支える市内の医療福祉関係者が加わり、参加者の思いを受け止めた。

 人生会議で大切なことは、どうするか決める「結果」ではなく、どうしたいか考える「過程」。

 「最期は自宅で過ごしたいが、家族に迷惑は掛けたくない」「延命は望まないが、痛みは取り除いてほしい」「独り身で頼れる身内がいない」「自分の最期なんて考えたこともないし、まだ考えたくない」など、さまざまな価値観や選択肢が飛び交った。

 母親(86)と参加した同市の女性(54)は「4年前に父を亡くした時、本当はどうしてほしかったのか、父に聞いておけば良かったと後悔している。元気なうちに家族で話しておくことが大切だと感じた」と話した。

 また「自宅で最期を過ごしたいが、認知症を発症したり要介護状態になったら家族に迷惑を掛ける。そうなったら病院や施設に入るしかない」と考えている参加者も多かった。

 ファシリテーターとして加わった市介護支援専門員連絡会会長の平塚敦さん(49)は「状態によっては自宅でも生活できる。在宅医療を支える体制を地域でつくっていくことで、最期を自宅で迎えられる人は増えてくる」と、地域における体制づくりの必要性を指摘した。

 岩谷医師は「この人生会議を通して皆さん、死ぬことではなく、生きることを考えたのではないか。今からどう生きていくか、どう人生を楽しんでいくか。これからも大切な人と人生会議を繰り返し、選択肢を広げてほしい」と呼び掛けた。

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