第１０４回全国高校野球選手権宮崎大会

本紙掲載日：2022-07-28

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◆意地の初打点が決勝点－⑧椎葉虹太（３年）

　５番の椎葉が意地の先制適時打。準決勝まで１安打と苦しんだが、「サンマリン最後の試合。やってきたことを全部出す思いだった」。吹っ切れて、振り切った。

　大会を通し、中堅手として広い守備範囲でチームを支えてきた。だが、「打撃で貢献する選手」と自負するだけに悔しさを募らせていた。

　周囲の言葉が支えになった。「今までやってきたことを出せ」。卒業した先輩たちや仲間から多くの励ましを受け、「好機で回ってこい」。前向きに決勝に臨めた。

　第１打席から。初回、「好走塁もあって、最高の形で回してくれた」と２死一、三塁。追い込まれてからファウルで粘る。
そこで手応えをつかんだ。「準決勝まで（前に）つっこむ癖が出ていた。修正した結果、それまで空振りしていた緩い変化球を当てられた（ファウルにできた）」。

　外角に来た７球目を逆らわずに、三遊間へ。初打点は決勝点となった。

　試合前、中川コーチから「３割打てる打者が、ここまで１割。５割打てるときがくる」と声を掛けられていた椎葉。甲子園では「今まで打ってない分、打って貢献したい」。まだ鬱憤（うっぷん）は晴らし切っていない。

◆最後に鍵を開いたのは－⑩黒木天太（３年）・⑥安藤希空（３年）

　頂点への最後の鍵を開けたのは内野手の２人。八回、黒木天が先頭で絶妙なバント安打、二盗を決めると、敵失も絡んで、１死三塁。２番の安藤は積極的に振って、値千金の右犠飛となった。

　決勝独特の空気が唯一、作用したのは富島の攻撃か。いい当たりが安打にならず、決定的な２点目が奪えない。日髙はほぼ完璧な内容だったが、仮に一つのミスが出ればという展開だった。

　八回の先頭は黒木天。「勢いがある相手。流れを変えるためには出塁すること」。相手の陣形を見極め、一塁前へ絶妙なバント安打を決める。

　１死三塁となって打席は安藤。「後ろに暖己がいたから、『自分がかえす』と楽に思えた」。２ボールになり「甘く来る」。小さくした的に入ってきた変化球を右方向へ。鋭い打球であわや長打だったが、十分な犠飛、１点になった。

　守りでも重圧をはねのけた２人。夢の舞台に向けて、「消極的にならなかったことが（決勝のチーム）無失策につながった。甲子園でも今大会と変わらず、いつもどおりにプレーする」とは黒木天。安藤も「保護者も含め全員の思いを背負って、笑顔で強気なプレーをして、勇気を与えたい」。宮崎を勝ち抜く過程で、大きく成長した。

◆目標は「甲子園１勝」－これが野球の楽しさ

②日柳永遠（３年）「つらいときもあったけど、乗り越えてきた仲間たちは唯一無二の存在。甲子園では（日髙）に伸び伸びと投げさせ、みんなで楽しんで目標の１勝をかなえたい。どこもレベルは高いが、思いっきり振って好機をつくっていく」。

③山口竣平（３年）「最後の大会という実感も無く、野球が好きなので純粋に試合を楽しんだ。甲子園出場は素直にうれしいし、ずっと夢見てきた舞台。期間は短いが、打撃をさらに磨き、次につなぐ意識で単打でもいいので出塁したい。甲子園では４番の役割を果たす」。

⑤坂本竜哉（３年）「暖己を中心に守備でリズムをつくり、しっかり勝てて良かった。決勝で、改めてこの中の一人でも欠けたら駄目だと感じた。全員で勝ち取った。甲子園１勝を目標にしてきてやっとステージに立てる。ビビらずに夢の舞台を楽しみたい」。

⑦齊藤光星（３年）「自分がチームを助けることはできなかったが、代わりにみんなが甲子園まで連れて行ってくれてほっとしている。先生や仲間に出会えて本当に良かった。甲子園では相手に臆さず、自分たちの野球で感動を与えるプレーができれば」。

⑨海野直大（３年）「今まで練習してきたことが要所で出せて『これが野球の楽しさだ』と思った。これまで戦ってきた対戦相手の思いも背負って、試合に出ていない３年もいる中、ベンチでも全力で一つになってやれたと思う。最高の仲間と一緒に甲子園も乗り越えたい」。

⑪堀谷源太（３年）「今まで練習してきたことを出し切ることができた。甲子園１勝に向け、気を引き締めて頑張る。チームを勢いづけるバッティングがしたい」。

⑫寺田龍星（２年）「夢だった甲子園を決めれてうれしい。楽しく試合をすることができた。先輩たちのいいところを取り入れながら、甲子園で１勝ができるよう頑張る」。

⑬竹中太河（３年）「点をつなげることができて良かった。レギュラーにストレスをかけないように、出た時にはみんなに勇気が与えられるプレーをしたい」。

⑭青柳拓志（２年）「試合に出るメンバーをサポートするという自分なりの役割を果たすことができた。ずっと集中力が続き、明るく盛り上がっていて、すごい先輩たちだと思った」。

⑮松田悠生（２年）「頼もしい先輩たちに助けてもらっていい経験ができた。かっこよかった。甲子園１勝のチーム目標を超えることができるよう頑張る」。

⑯黒木駿羽（３年）「仲間の勇気あるプレーに奮い立たされ、絶対に優勝しようと思った。甲子園では自分が注目されるようなプレーをし、勝ちたい」。

⑰雜賀洸斗（３年）「日頃から『甲子園に行こう』と声掛けし合い、つらいときも仲間と助け合って来た。甲子園１勝が目標なので、まずは１勝を目指す」。

⑱竹内鉄二（３年）「チーム一丸となり、『絶対甲子園に行く』と一枚岩となって戦えた。３年間の目標が甲子園での１勝なので、一戦必勝で頑張る」。

⑲高橋信太朗（１年）「主将の兄と一緒にプレーするのが最初の夢でそれがかなってうれしい。３年生にとって最後の大会。一生懸命プレーできるようサポートしたい」。

⑳尾前和茂（２年）「勝ってうれしい。その気持ちだけ。次の代である自分たちに刺激になった。個性豊かなチームなので個性を出し、一戦必勝で頑張る」。