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脱炭素へ本格運用−燃料は豚骨スープのラード

本紙掲載日:2022-08-05
3面
車両にバイオディーゼル燃料を給油する西村主任
バイオディーゼル燃料(右)と軽油を比較する西村主任

高千穂あまてらす鉄道−従来の軽油と遜色なし

 旧TR高千穂線を利活用する高千穂あまてらす鉄道(工藤雅康社長、高千穂町三田井)はこのほど、運営しているトロッコ列車「グランドスーパーカート」に、豚骨ラーメンのスープから抽出したラードを原料とするバイオディーゼル燃料の導入を決めた。7月18日から社員のみによる試験運用を行い、1日から本格運用を始めた。

 高千穂駅舎跡―高千穂鉄橋(往復約5キロ)を走るトロッコ列車は、町内の雄大な自然を体感できる観光名物。同社は、こうした自然を守ろうと、カーボンニュートラル(脱炭素)に向けた取り組みを検討、「地方の小さな企業にできること」を模索していた。

 そんな折、資源循環社会の実現に力を注ぐ総合物流会社西田商運(西田眞壽美会長、本社・福岡県)が、福岡県内の飲食店で廃棄されている豚骨ラーメンのスープでバイオディーゼル燃料を精製していると知った。

 バイオディーゼル燃料は、天ぷら油などの生物由来油から精製され、繰り返し利用できる再生可能エネルギーの一つ。性質上、エネルギー源が枯渇せず、温室効果ガスの排出が少ないといったメリットがあり、近年世界中で注目されている。

 西田商運が手掛ける燃料は、植物性廃油9割、ラード1割で精製されており、高千穂あまてらす鉄道の西村大樹運輸施設主任(35)によると、使用感は従来の軽油と比べて一切遜色なく、排煙が大幅に減ったという。

 今後については、鉄橋周辺の地熱や風、太陽光などの活用も検討しており、齋藤拓由専務(47)は「取り組みを展開しながら情報発信にも力を入れていく。地域全体に再生可能エネルギーを使った取り組みが広がれば」と話した。

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