大切な会社を次世代に

経営バトンタッチセミナー

　大切な会社や事業を次世代に引き継ぐ事業承継の理解を深める「経営バトンタッチセミナー」が４日、宮崎市であった。事業承継に関心がある人らが受講。実際に事業承継を行った経営者の実行に至ったきっかけや悩み、課題などの話を聞いた。

　セミナーは専門機関の県事業承継・引継ぎセンター（宮崎商工会議所）と日本政策金融公庫宮崎支店・延岡支店が共催、事業承継の支援に取り組む県や県商工会議所連合会、県商工会連合会、金融機関など１３機関・団体が連携して開いた。

　親族内承継と第三者承継のパネルディスカッションがあり、各３事業所の代表が参加。県北からは親族内承継に「健康・パンｃａｆｅ・クローバー」（日之影町）の新田範美さん（６２）、酒たばこ・食料品等小売店「商処美郷や」（美郷町）の江並洋さん（５６）が体験談を話した。

　新田さんは、姉が経営するパン屋の閉店を機に、姉の思いの継承と地元貢献、料理教室を２０年以上開いてきた経験を生かし、カフェの開店を決意した経緯などを説明。承継の成功の秘訣（ひけつ）として「本人同士で話を進めるより、専門的な機関の支援を受けることが大切」などと話した。

　グランピング事業の起業を目指して後継者人材バンクに登録した江並さんは、県事業承継・引継ぎセンターから紹介された前オーナーと打ち解け、商店を承継。「地場産品を増やすなど楽しく営業するとともに、グランピング事業のスタートに向けても動いている」と夢の実現に目を輝かせた。

　また、同日は県事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者の岡村巖さんが、センターの概要や取り組みなどを説明。廃業を検討する理由の中で「後継者がいない」が最も割合が高い現状などを示した上で、相談やマッチングなどセンターの支援の取り組みをＰＲし、利用を促していた。