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「のり子八歳」DVD活用して

本紙掲載日:2022-08-31
2面

宮崎地区退職教職員協議会

◆会員の引き揚げ体験を基に制作−日向でも貸し出し

 「戦争は終わらないのり子八歳」。これは、宮崎地区退職教職員協議会(佐々木親造会長)が、会員の田村規子さん(85)=宮崎市在住=の引き揚げ体験を基にした朗読劇をDVD化したもの。日向地区の同協議会(杉田芳久会長)は「戦争はしてはいけない、ということがよく分かる内容。日向市でも上映会を開くなどして活用してほしい」と呼び掛けている。

 規子さんは、宮崎開拓団副団長だった父について家族で満州(中国東北部)に渡り、戦後引き揚げてきた。満州では1945(昭和20)年8月15日、日本人が敗戦民になると、現地の人々との立場が逆転。それまで使用人扱いをされていたことを恨み、暴徒と化した人々からの逃亡は過酷を極めた。

 草むらに隠れて夜を明かし、銃撃を受け、さらに火を放たれて逃げ惑った。一緒に行動していた21人は、いつの間にか9人に減っていた。たどり着いた難民収容所でも、団長が拷問を受けて亡くなり、厳しい生活のため規子さんも母と弟2人を亡くした。一方で、親切な中国人家族に助けられる経験もした。

 宮崎地区の協議会はこの体験を朗読劇にし、数年前から宮崎市内外の学校で上演していたが、コロナ禍で活動が難しくなったためDVD化した。

 絵や写真を交え、銃声や炎などの効果音で臨場感を出しながら、規子さん本人を含む会員たちが交代で物語を朗読。「家族3人を殺し、優しい人の心を変え、8歳ののり子から笑顔を奪ったのも戦争。戦争は嫌だ」と強く訴えている。

 テレビ用とパソコン用のディスク2枚で1セットになっており、宮崎市郡の全公立中学校には、それぞれ寄贈したという。県内の他地区の協議会にも1セットずつ配られたが、日向地区では、追加で3セットを要望して提供を受け、日向市の市教委、市立図書館、市男女共同参画社会づくり推進ルームさんぴあに贈った。

 同市立図書館では、9月から貸し出す予定で準備中。さんぴあ(電話日向50・0300)でも貸し出す。

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