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世界農業遺産・独自視点で研究

本紙掲載日:2022-09-12
2面
五ケ瀬町役場で開かれた宮崎大学GIAHS研究会によるシンポジウム。トークセッションでは教授ら3人がざっくばらんに意見交換
研究に関して講演する宮崎大学GIAHS研究会の会員(左端)

高千穂郷・椎葉山地域−魅力を解説

 世界農業遺産(GIAHS=ジ13日)に認定されている高千穂郷・椎葉山地域の魅力について独自の視点で研究する宮崎大学GIAHS研究会はこのほど、五ケ瀬町役場で「高千穂郷・椎葉山地域と私」と題してシンポジウムを開いた。町内外から約30人が参加、研究会に所属する教授らによる講演やトークセッションを通して同地域の特色を再確認した。

◆宮大教授ら五ケ瀬町でシンポジウム

 シンポジウムは、研究会の成果を分かりやすく解説することで地域住民との交流を深めようと初開催。林業経済、自然生態系、農山村社会などさまざまな分野を専攻する会員7人が訪れ、それぞれの研究テーマや地域にとって当たり前すぎて見落とされている魅力などに言及した。

 まず、農学部の西脇亜也教授(生態学)が「世界農業遺産地域の生き物たち」、櫻井倫准教授(森林利用学)が「林道の聖地」、地域資源創成学部の西和盛教授(農業経営学)が「かたちを変えて続く農林複合経営」をテーマに講演した。

 このうち西脇教授は、2015年の世界農業遺産認定を機に高千穂町で設立され、古代品種「麻尻大豆」を栽培する伝統農法研究会の取り組みや希少な「ツルアズキ」が日之影町などで見つかった事例を紹介。

 持続可能な農法や遺伝資源、希少動植物が多い理由に、刈り干しなどの伝統的な里山管理法が受け継がれていることを挙げ、「GIAHS地域に残る伝統の歴史と現状を知りたい。今後も足を運ぶのでいろいろ教えてほしい」と語った。

 トークセッションでは、農学部の藤掛一郎教授(林業経済)、竹下伸一准教授(農業土木)、地域資源創成学部の井上果子准教授(農村社会経済)が登壇。日向時間舎(高千穂町三田井)の藤木哲朗代表による進行で、それぞれの研究テーマに沿った視点から同地域の魅力、研究の中で感じたこと、今後の展望などを語った。

 参加者は、ざっくばらんにトークを交わす登壇者たちへ親しみを感じた様子。ユーモアを交えた内容に終始、和やかな雰囲気で耳を傾けていた。

 参加した五ケ瀬中等教育学校の上田聖矢教諭(32)は「意識しなければ気付かなかった魅力をたくさん知ることができ、有意義な時間だった。教職として若い世代にもしっかり受け継いでいきたい」と話した。

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