内藤家伝来の名宝①

本紙掲載日：2022-10-28

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延岡城・内藤記念博物館－１１月６日まで特別展

　延岡城・内藤記念博物館（延岡市天神小路）の開館記念特別展「譜代大名内藤家－その歴史と名宝」は１１月６日まで。旧延岡藩主内藤家から市へ２０１４年に寄贈され、今回が初公開の貴重な品々が多数展示されている。その一部を、会期終了前まで紙上で紹介する。＝今回掲載した展示品は、すべて同博物館所蔵

　１４年に寄贈されたのは、後奈良院（１０５代天皇）や後水尾院（１０８代）、徳川家康をはじめ歴代将軍の直筆と伝えられる書画、「水戸黄門」として知られる水戸光圀（みつくに）から内藤家６代義概（よしむね）への書状、刀剣や漆器などの美術工芸品、明治時代以降の内藤家の活動と延岡市の歴史に関する写真、文書など１００点以上。

　その後、当時の内藤記念館が建て替えの準備に入ったため、公開されていなかった。

　同博物館学芸員の増田豪さんによると、これらの品は、同博物館の所蔵になったとはいえ、保存上の問題から、たびたび展示することはできないという。

　「この機会を逃さず、実物を見にきてください」と呼び掛けている。

　月曜日は休館。観覧料は一般５００円、高大生３００円、中学生以下無料。開館は午前９時～午後５時。問い合わせ先は同館（電話延岡２１・７１１０）。

◆家康から綱吉まで将軍５人直筆の書や絵

【写真説明】【徳川家康筆覚書】（江戸時代、１６・６×２１・７センチ）「覚書」は、現代でいえばメモのこと。上に数字、下に薬種などが書かれていると思われる。文字は、家康の性格を反映したような、力強い筆致。
【写真説明】【徳川秀忠筆消息】（同、２１・７×９２・４センチ）２代将軍秀忠が、父家康の側室阿茶局（あちゃのつぼね）宛てに出した手紙。歳暮の祝儀について記している。
【写真説明】【徳川家光筆夜景図】（同、４８・３×３２・３センチ）３代将軍家光が描いた夜景。歌は、家光に仕えた祖心尼（そしんに）の筆とされる。
【写真説明】【徳川家綱筆雉（きじ）図】（同、２５・７×４４センチ）４代将軍家綱が描いたキジ。目が印象的だ。家綱は、ニワトリの絵を中心に、多くの絵を残している。
【写真説明】【徳川綱吉筆岩に鶺鴒（せきれい）図】（同、７０・５×３２・４センチ）５代将軍綱吉が描いた、岩の上にセキレイの絵。綱吉は、自身の書画を積極的に下賜（かし）したという。

◆国認定重要美術品の刀

【写真説明】【太刀無銘伝国行（部分）】（鎌倉時代、刃長７１・８センチ、反り３センチ）山城国（やましろのくに、現在の京都府南部）の刀工（とうこう）、来国行（らい・くにゆき）の作と伝えられる刀。国の重要美術品に認定されている。
【写真説明】【金平目地桐下がり藤紋散蒔絵糸巻太刀拵（きんひらめじきりさがりふじもんちらしまきえいとまきたちごしらえ）】（江戸時代、総長１０５センチ）「伝国行」の太刀の付属品。拵（こしらえ）は、さや、つば、つかのこと。平目地は、蒔絵の技法の一つ。内藤家が藤原氏の流れをくむことを示す「下がり藤」の紋と、「五七の桐（ごしちのきり）」の紋が、散らしたように多数入っている。内藤家３代家長が、豊臣秀吉から賜った鉄砲の袋に五七の桐の紋が入っていたことから、これも家紋にしたという。