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ココカラSDGs−第20回「暴力のない社会へ」

本紙掲載日:2022-11-24
7面

◇SNS相談の開設、もう待てない−財津さん
◇声上げられない被害者、自分らしい人生を−宮永さん
◇DV根絶宣言、検討させていただきます−読谷山市長


 今注目のSDGs(エスディージーズ)をテーマに、地域や地球の未来を共に考えるFMのべおかの番組「ココカラSDGs」の第20回「暴力のない社会へ」が、17日に放送された。内容を一部抜粋して紹介する。

 アドバイザーはSDGsコミュニケーターの難波裕扶子さん(50)=シンク・オブ・アザーズ代表、日向市亀崎西=。ゲストは読谷山洋司延岡市長(58)、ハートスペースみやざき=宮崎市=の代表理事・財津三千代さん(74)と事務局長・宮永尚子さん(31)。なお、収録は8日に行われた。


−−第20回のテーマは「暴力のない社会へ」です。

〈難波〉11月20日は「世界の子どもの日」、同25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。今回はSDGs達成の前提でもある平和な社会、暴力のない社会について、ゲストの皆さんにお聞きしたいと思います。

−−では財津さん、自己紹介をお願いします。

〈財津〉私は鹿児島県内の家父長制の強い地域で、両親のDVを見て育ちました。さらに、夫からDVを受けて悩んでいた親友の死など、常に私の身近にDVという問題がありました。
宮崎県へ移住してしばらくし、DV防止法が制定されることになり、これと同時に、初めは3人の仲間で民間シェルター(一時避難所)を持つ団体を立ち上げました。それから約20年間、被害者支援を中心に活動してきました。
この間、民間シェルターに入所後、新しく出発していった人たちは約350組を数えます。法律は制定されましたが、DVは世界中で起きています。さらに今、コロナ禍でますます増えており、世界の4人に1人がDVの被害者であるという調査結果があります。
まさにDVという問題は、単なる個人の問題ではなく、公衆衛生上の健康問題であるという意識を持ちながら、これまで取り組んできました。
さらに広く支援に取り組んでいくため、これまで活動してきた「NPO法人ハートスペースM」を卒業し、今月1日に新たに「一般社団法人ハートスペースみやざき」を発足させました。
一緒に活動していく仲間の中には、DV被害の当事者だった人もいます。さまざまな過去を抱えながら、それぞれが熱い思いを持って、社会からDVという暴力をなくすために一緒に頑張っていこうと思っています。

−−続いて宮永さん、お願いします。

〈宮永〉私自身、デートDV被害の当事者でした。デートDVとは、婚姻関係のない交際相手からの暴力のことです。
精神的DVや経済的DVを受けていたのですが、当時、それがDVだとは知りませんでした。相手に自分の人生を支配されているような、一緒にいたくないなという感覚はあったのですが、言葉にできずにモヤモヤを抱えていました。
そのDVがどんどんエスカレートし、殴る、蹴るなどの身体的DVが始まった時に、ようやく「これってDVなのかも」と思い始めました。
別れ話を切り出しても聞き入れてもらえず、暴力はどんどんエスカレートしていく状況で、夜逃げしようかなと思うくらい思い詰めていました。そんな時、当時勤めていた職場の社長に相談したら、すぐに警察に連絡してくれました。
交際相手とは無事離れることができたのですが、その後数年間、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やフラッシュバックの症状に苦しみました。
時間とともに症状が治まってきて、過去の経験として前向きに捉えられるようになった頃、DV被害を受けた女性のために活動している団体があることを知り、一緒に活動したいと思い、「ハートスペースみやざき」の活動に参加させてもらうことになりました。

−−新たに一般社団法人を立ち上げた理由について、もう少し詳しく聞かせていただけますか。

〈財津〉若年女性のサポートと子どもたちのサポートに、もっと強く取り組んでいきたいと思ったからです。そのための次世代の支援者を育成していくというのが、新しい団体の大きな課題です。
実は宮崎県内の10代、20代の若い女性たちが遠く離れた横浜市、神戸市などのSNS相談、いわゆるチャットやラインで「死にたい」「消えてしまいたい」「誰にも相談できない」と、悲痛なSOSを発信していることが分かりました。
国は全国の地域共同体に、NPO法人などと組んでSNS相談などの活動に取り組むよう、2020年度から予算を付けています。取り組んでもらうよう宮崎県や宮崎市に要望してきましたが、残念ながら今なお、宮崎県内では開設されていません。
でも、本当にもう待てないと。こういったSNS相談の分野も自分たちで資金を集めて取り組んでいくため、新たな団体を立ち上げることにしました。
そうすることで、今まで支援が届かなかった人にきちんと支援が届くようになります。例えば横浜市のSNS相談にSOSを発信していた人が、私たちとつながることで、「今逃げてきて、どこどこの公園にいる」となれば、すぐに駆け付けることができます。
SNS相談の開設は宮崎県の課題です。私たちも大きな目的の一つとして、行政とも交渉しながら取り組んでいくつもりです。

−−当事者だった宮永さん、このようなSOSにどう寄り添うべきとお考えですか。

〈宮永〉私の場合は恵まれていて、元交際相手から逃げる時、当時の職場の社長や家族が支えてくれたので、無事離れることができました。
ただ一般的には、離れる時に手助けをしてくれる人がいない場合が多いです。周囲に「助けてほしい」と声を上げられない理由としては、「迷惑を掛けてしまう」「どうせ理解してもらえない」。そもそも、交際相手や夫から「誰かに言ったら危害を加えるぞ」と脅されている場合もあります。
私自身、周囲に助けられたからこそ、そういう声を上げられない人たちを支援していきたいと思っています。また、離れた後の支援も大切です。PTSDやうつなどの症状で日常生活を送ることができない人もいて、自分らしい人生を送ってもらうために、長期的な支援が求められています。

−−子どもへのDVの実態について、お聞かせいただけますか。

〈財津〉私自身が、父が母に対して抑圧的な、いわゆるDV家庭に育ちました。今で言う、子どもにDVを見聞きさせる「面前DV」です。
大好きなお父さんとお母さんの間で繰り広げられる暴力行為は、子どもの成長過程に重篤な影響をもたらします。
ある調査によると、子どもの脳へのダメージは身体的暴力よりも、言葉の暴力のほうが約6倍強いそうです。その影響は発達障害的な特徴として、11〜13歳ごろに出てくるという調査結果もあります。
いかに子どもたちの心に深く残っていくか、言葉の暴力を軽く考えないでほしいのです。子どもへのDVは、将来の加害者をなくすという、DVの根絶に関わる根本的な課題です。
ここで、私たちの民間シェルターに、妊娠中のお母さんと一緒に入所してきた6歳のリョウ君(仮名)の話をしたいと思います。
入所当時は怒りが激しくて、私たちスタッフを蹴ってきたり、大声を出したり、他の子どもに乱暴したり、そういう言動が見られました。
お母さんの大きなおなかに乗ったり、お母さんを後ろから蹴ろうとしたりする危険な行為が見られたので、お母さんの身の安全のために2日間ほど夜間保育園に預かってもらったのですが、スタッフ2人が迎えに行くと、暗い部屋の隅っこで、しょぼんとした様子で、自分の靴下をはさみで切り刻んでいたそうです。
私たちに怒りをぶつけていた、それまでのリョウ君とは少し様子が違ったので、スタッフの1人が「リョウ君、早く迎えに来てあげられなくてごめんね。リョウ君、今までお母さんと一緒に頑張ってきたんだね。えらかったね」と声を掛けたそうです。
するとリョウ君がいきなりわんわん、わんわんと泣き出して。スタッフにしがみついて、心に留めていたものを吐き出すように、その場で30分ほど泣いたそうです。それ以来、リョウ君の様子は変わっていきました。
そういった経験を通して私たちは、第二の被害者である子ども、将来の被害者や加害者になり得る可能性の高い子どもへの支援が急がれると感じています。

−−読谷山市長、ここまで聞かれてどうお感じですか。

〈読谷山〉延岡市は県内で唯一、365日対応の「なんでも総合相談センター」を設置し、さまざまな相談に対応しています。DVや家庭内トラブルに関する相談も少なくありません。
お話を聞いて改めて感じたことは、子どもへの精神面、発達面への影響はもちろん、大人でも実はそれぞれに精神的な、もしくは経済的な課題を抱えているかもしれないということ。
そう考えると、DVに関する問題は複数の分野にまたがっており、行政としては、それをワンストップで丸ごと受け止め、そこから、専門的な支援につないでいく必要があります。
また延岡市では、DV被害者の緊急避難のためのホテル宿泊費や日用品の経費を予算化しており、いつでも動ける態勢を取っています。専門性と寄り添う姿勢とを同時に発揮するため、まだまだわれわれも成長していかないといけません。

−−DV根絶のため、私たちは具体的に何をすればいいのでしょうか。

〈財津〉まず、DVがどのようなものなのかを正しく知ることです。DVは単に当事者間の問題ではなく、社会の中に要因があります。例えば、女だから、男だからといった固定的性別役割分担、相談窓口がないことなどが挙げられます。
中には、戸籍謄本があるが故に、加害者に追跡されることにおびえながら生きる被害者もいます。被害者が逃げるのではなく、加害者が逮捕される社会に向けて、DVそのものに厳罰を科すべきです。
日本のDV防止法は、世界と比べると立ち遅れています。法律面を変えることが国民の安全安心な生活を守ることに根底からつながっていくと思います。
私たちはDVについて知ってもらうために、子どもへの暴力についての出前講座を始めました。現在では月に2、3回、県内の保育園などに出向いています。受講者がDVに対する正しい認識を得て、身近にいるDVの被害者に声を掛けることで、相談する人が増えるかもしれません。

〈宮永〉当事者はDVを受けたことを言いません。そのため、周りの人が気を付けていくべき問題だと思います。若い人たちは写真をむやみにSNSにアップしますが、写真から簡単に居場所を特定されてしまいます。そういった危機感を若い人たちも持ってほしいです。
延岡こども未来創造機構は、ハートスペースみやざきと通ずるところがあると思います。

〈読谷山〉小さい頃からの学びは自分を肯定する気持ちを育むことにつながりますし、子どもの学びが大人の頑張ろうという気持ちをつくり出します。また、子どもたちが正直に生きていける地域をつくるためには、いろいろなことにチャレンジできる機会を提供し、自分の「好き」を見つけることができるようなまちにしていくことが大事なことだと思います。
子どもたちが家庭や学校を離れて、自分の好きなことを見つける機会を提供するために、延岡市は延岡こども未来創造機構をつくりました。正直に生きる喜びを一人一人に持たせることが根本的な問題解決になるのではと、改めて感じます。

−−延岡市は今年度も「キッザニア」を開催するそうですね。

〈読谷山〉子どもたちが「好き」を発見する機会として、12月に開館する野口遵記念館と市役所で、今年度も「アウト・オブ・キッザニア・イン・のべおか」を開催します。開催日は来年2月4、5日です。いろいろな職場体験を提供してくれる企業や参加者を今後、募集していきます。
キッザニアで職場体験をして働いた子どもたちはノベカというお金をもらうことができ、会場ではそのお金を使って駄菓子や文房具を買うことができます。
キッザニアを通じて子どもたちは自分の「好き」を発見します。また、企業は子どもたちが生き生きと楽しんで職業体験している姿を見て「自分も最初はこんな気持ちでやっていたんだ」と初心を思い出し、「あしたから頑張ろう」という気持ちが生まれます。好きなことに熱中している子どもたちの姿で、大人も自分を取り戻すことにつながると思います。

−−すてきな未来になるために、財津さんはどうお考えですか。

〈財津〉DV根絶宣言を久留米市が全国で初めてした後、全国に広まっていきました。残念ながら、宮崎県ではどの市町村もしていません。県のスタートとして、延岡市からDV根絶宣言をしてほしいと思います。

〈読谷山〉ぜひ検討させていただきます。

−−宮永さんにとってSDGsとは何でしょうか。

〈宮永〉SDGsは本当の意味で平和を継続させることができるものだと思います。人によっていろいろな平和があります。それぞれの人が、それぞれのベクトルの平和を実現していくことがSDGsだと思います。

(おわり)


■提供…旭化成、グローバル・クリーン
□再放送□24日午後8時、27日午前11時からの2回

□第21回の内容□
〈テーマ〉「地域資源を生かして」
〈ゲスト〉スナオ製薬(宮崎市)の代表・廣澤直也さん、クロスゴー(同)の代表・杉田剛さん
〈放送日〉12月15日午後1時から
〈再放送〉12月22日午後8時から、同25日午前11時からの2回

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