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力強く大人歌舞伎上演

本紙掲載日:2022-11-28
7面

3年ぶり、秋祭り奉納演芸−日之影

 日之影町に伝わる郷土芸能「大人(おおひと)歌舞伎」を上演する大人神社秋祭り奉納演芸が19日、同町岩井川の大人歌舞伎の館(丹部俊夫館長)であった。上演は毎年春と秋に行われるが、この日は新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに開催。再開を待ちわびた大勢の地元住民らが訪れ、迫力の芝居に見入った。同歌舞伎保存会(山本唯仁会長、17人)主催。

 大人歌舞伎は九州唯一の農村歌舞伎で1995年3月、県無形民俗文化財に指定された。1573〜91年、岩井川地方一帯を善政で治めながら、悲運の死を遂げた武将・甲斐宗攝が愛した芝居を弔いで演じたことが起源とされている。

 カンカンカンカンカン…。乾いた祭りばやしと威勢の良い掛け声が響き、祝いの舞「寿三番叟(さんばそう)」で幕開け。舞踊「白雲の城」「華扇」「男の流儀」を挟みながら、9年ぶりの披露という歌舞伎「絵本太功記十段(尼ケ崎の段)」「勧進帳(安宅新関の場)」などを上演した。

 来場者は、本能寺で主君を討った明智光秀の悲劇や、関守に疑われる主君・源義経を守ろうと機転を利かせる弁慶の物語などを堪能。華やかな衣装に身を包み、堂々と立ち回る役者たちに大きな拍手を送り、振りをまねる子どもの姿もあった。

 元保存会員という甲斐輝義さん(79)=岩井川=は「私たちが演じていた頃よりも上手で声がよく通っていたので楽しめた。若い役者が多く、歌舞伎の継承という点でも安心して見ることができました」と感想。

 山本会長(71)は「郷土の伝統芸能を大切に守りながら、しっかりと後世に受け継いでいかなければならないと感じている。こうした活動が地域の、日之影の、大人の活性化につながればうれしい」と話した。

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