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15歳の自分と対面

本紙掲載日:2023-01-10
7面

北方学園中卒業生がタイムカプセル開封

◆衣装ケースを保護者が保管

 20歳を迎えたことを記念して、延岡市立北方学園中学校の卒業生は7日、同校武道場に集まり、卒業時に詰めたタイムカプセルを開封した。中学校卒業以来の再会を果たした人も多く、15歳のころの自分と対面しつつ、近況を報告し合った。

 「成人式の時に何か思い出に残ることができれば」と中学3年時、保護者を中心にタイムカプセルを企画。学校の敷地内に埋設できなかったため保護者が預かり、家の押し入れで大切に保管していた。8日の「はたちの成人式」を前に開封しようと、保護者が子どもたちの恩師らにも声を掛け、集う場を設けた。

 開封には31人中27人が参加。小学校、中学校時代の恩師8人も訪れ、大人びた教え子との再会を喜んだ。一人一人の近況報告に続き、〃タイムカプセル〃の衣装ケースを開封。名前が記された茶封筒の中から、それぞれが入れた思い出の品が取り出された。

 男性陣の封筒からは、履き古したスリッパや通知表など、入れた本人も驚くような物が出てきて大盛り上がり。一方、肩を寄せ合って、照れくさそうに中身を確認していた女性陣の封筒には、当時好きだった芸能人の写真や「プリクラ(写真シール)」などが入っており、笑い転げたり、恥ずかしがったりしながらも、熱心に当時の自分と向き合っていた。

 母親がタイムカプセルを保管していた佐藤辰紀さん(19)=大分県玖珠町在住、陸上自衛隊隊員=は「なくさないか心配だった」と頬を緩め、「昔に戻って懐かしい。仕事がきつい時もあるが自分だけではない、みんな頑張っていると思えた」。

 司会を務めた田邉輝音さん(20)=京都府南丹市在住、大学生=は「やって良かった。みんなは(互いに)素でいられて心のよりどころのような存在。また集まりたい」と話した。

 3年時の担任で、現在北方学園小教頭の岸田征子さん(52)は、近況報告で教え子たちから多くの人への感謝の言葉や再会を望む声などをじかに聞けたことを喜び、「大人になったと頼もしい。教師冥利(みょうり)に尽きる」と目を細めた。

◇台風被災の地元思う−ロハス宮崎たすけあいに寄付

 この日は昨年9月の台風14号で被災した北方町のために役立ててほしいと、参加者と保護者を対象に募金活動も実施。寄せられた1万5092円を、北方町で浸水被害に遭った住宅の床板張り作業を計画しているボランティア団体「ロハス宮崎たすけあい」(押川敬視代表)に手渡した。

 募金活動は、タイムカプセル開封の会場について岸田さんに相談した際、町内の被災状況を聞いたことがきっかけ。苦しんでいる人がいるのに祝い事をしていいのかという迷いもあり、「それなら被災者の力になれる活動を」と企画した。同級生31人全員が入っているというLINE(ライン)グループでアンケートを実施。それぞれが自分の気持ちを寄付しようということになったという。

 タイムカプセルの開封後に田邉さんと佐藤さんが押川代表(37)を訪ね、「少しでも力になれれば」と手渡した。押川代表はロハス宮崎の活動内容、今後も起きる可能性のある災害に備え、助け合える関係づくりにも力を入れていることなどを紹介し、「うれしい。床材の購入費に充てる。皆さんの思いを無駄にせず、僕らが代わりに責任を持ってやります」と請け負った。

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