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GGN特集

本紙掲載日:2023-05-05
7面

◆鎧坂、MGCへベテランの存在感−男子1万メートル

 パリ五輪代表選考会、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)へ向け調整を進める鎧坂(旭化成)。「トラック練習をしていない中で、苦しくはなったが、最後まで粘り切れて良かった」。男子1万メートルで6位に入り、33歳のベテランが存在感を示した。

 10月15日の本番へ向け、今春は土台作り。ハーフマラソンと今大会の1万メートルを刺激に、最高の状態で秋に向かう心づもりだ。

 安定したペースメークで進み、「楽に行けた」。集団後方から、ふるい落とされる選手を横目に、7000メートルまで徐々に順位を上げる。さすがに終盤に上位争いとはならなかったが、ラスト1周もスピードを上げ、同僚の茂木にも競り勝った。

 「7000まで付いて、28分10秒でとイメージし、その通りになった。マラソンでもこういう苦しさがある中で、粘り切れたことは収穫」と手応えを口にした。

 「他にはない看板をたたく音と、名前を呼ぶ応援で最後まで粘り切れた」と感謝し、「マラソンに向け、故障がないよう、徐々にしっかりと体をつくっていきたい」。この日の声援は、MGCに向かう日々の背中を押してくれる。


◆茂木、きっちり1桁

 男子1万メートルの茂木(旭化成)は7位。「ペースメーカーに付ける所まで付いていって、そこから後半どれだけ粘れるかだった。7000メートルでついて行けなかったのが今後の課題だが、力はひとまず発揮できた」と受け止めた。

 安定したペースの中、集団の後方で落ち着いて展開。終盤に集団から後れたが、きっちりと前を追い、1桁順位は確保した。

 目標としていたという27分台には届かず、「2週間後の九州実業団の1万メートルで、リベンジしたい。後半のきつい所でペースを保つというのが足りなかった」と話した。


◆高卒新人が奮闘7位−5000メートル長嶋

 男子5000メートルAに挑み、7位に入った旭化成の高卒新人長嶋。レース後、宗猛総監督に「今の力を理解しただろ。これからしっかりと上を目指せ」と向けられ、「力不足です。頑張ります」。前を向いて応えた。

 兵庫・西脇工高所属だった昨年は今大会で、後に先輩となる村山に食らいつき、自己ベストを更新する13分37秒台。入社間もなくまだ万全ではない中、チームで唯一Aに臨んだ今回も積極的に前で展開する。

 中盤で先頭集団から離されたが、粘り強く追う。「みなさんの声援が力になることを実感した」と13分42秒台、1桁順位でフィニッシュした。

 「ロス五輪まではトラックで国際大会で活躍し、その後はマラソンで成果を残したい」と初々しく語る18歳。「力不足を受け止め、地道にけがなく、自分の目標に向かっていきたい」と力強く語った。


◆MGC、ニューイヤーへ向けて−旭化成選手

◇鈴木(5000メートルD10位)
「正直出場を迷ったが、職場や地域の方に元気に走っている姿を見せられればと思った。現状からすると、ラストも(ペースを)上げられて、上出来で安心した。ニューイヤー駅伝に向け、強い先輩たちに食らいついていき、自分が出て、優勝するつもりで底上げしていければ」

◇井川(男子5000メートルF6位)
「ラスト一周でこんなにもがいているようじゃ、まだ先は長い。(今後の目標は)27分台。旭化成でのやり方を早く見つけて、先頭で戦えるような選手を目指したい」

◇土方(5000メートルG14位)
「最低限自己ベストをと思っていたが、後半に失速し不完全燃焼。観客が入るレースも久しぶりで、地元の意味のある大会だと感じた。MGCが本当の戦い。そこに向けてしっかりトレーニングしていきたい」

◇山田(旭化成、男子5000メートルJ6位)
「結果は悪かった。準備不足が出たと思う。結果に責任が伴う立場なので、次の九州実業団までにしっかりと調整していきたい」


◆入賞ゼロに危機感−旭化成・宗猛総監督

 大会自体の盛り上がりとは裏腹に、旭化成・宗猛総監督は「現状の力を出せた選手が少なかった。地域、職場の方の応援に対し、感謝の気持ちを持ち、自分の持ち味を発揮する。真剣に考えるべき」。随所で存在感は見せながら、入賞者ゼロに終わった選手たちに、危機感をあらわにした。

 鎧坂、茂木が1万メートル、長嶋が5000メートルAで奮闘したが、「現状の力がはっきり見えた大会」。メーンとなるA組にエントリーしたのが高卒新人1人という状況にも寂しさがあった。

 「長嶋はようやく練習が始められたという状況で、潜在能力の高さは見せた。まだ力は足りないので、練習するしかない」、「鎧坂はMGCに向けてベテランらしく、ベストの状態でスタートラインに立てるように調整を」と期待。

 「練習も含め、選手、スタッフで課題として、取り組まないと」。重く受け止めていた。



◆好走いわき市の中学生−「奇跡」同郷の相澤選手(旭化成)と交流

 延岡市の兄弟都市、福島県いわき市から4人の中学3年生が出場。中学女子3000メートルで優勝を果たした蛭田美来(勿来第一中)は「楽しんで走れた。たくさんの支えに感謝したい」とうれしそう。

 いわき市の中学生は、兄弟都市締結の翌年、1998年以降、毎年今大会に参加。今回の4人は優勝した蛭田以外も上位争いを演じるなど、ハイレベルだった。

 「奇跡」。蛭田らが喜んだのが、同じ福島県須賀川市出身で1万メートル日本記録保持者の相澤晃選手(旭化成)との交流。サインをもらい、一緒に写真も撮影し、「本当に会えるとは。しかも神対応でした」と笑顔がはじけた。

 相澤選手は故障の影響で欠場したが、補助員として会場入り。サインを求める長蛇の列にも、優しい笑顔を崩さずに対応。郷土の中学生に対しては「ぼくらの時代よりレベルが高くなっている。高校以降も陸上を続けてもらえるよう、自分の姿を見せていきたい」。

 入社以来、ほかの大会との兼ね合いもありGGNは未出走。「来年はぜひ、走る方で参加したい。秋以降に日本選手権の連覇と、ニューイヤー駅伝の王座奪還を目指す」と力強かった。

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