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台風被害を手当て、国の掘削土を活用−延岡
◆520メートル間に土砂投入
県延岡土木事務所は12日、浸食による砂浜の崩壊が問題となっている延岡市長浜海岸の養浜計画を現地で説明した。国交省が五ケ瀬川下流域で行う河道掘削で発生する土砂を、海童神社前付近から潮くみ場まで520メートル間に投入する。説明会に参加した地元住民や県議からは「もっと根本的な対策をしてほしい」との声が上がった。
長浜海岸は、1950〜70年代に比べて砂浜が狭まり、大波が海岸をえぐることによってできる浜崖(はまがけ)が、防潮林に迫っている。昨年9月の台風14号では、砂浜の下に埋もれていたコンクリート壁と消波ブロックが露出して地元住民を驚かせた。
コンクリート壁などは75〜76年度に県の防潮林造成事業で設置されたもの。その後、砂浜が広がり埋もれていたが、近年の浸食に加え、台風による大波で露出した。消波ブロックのみの場所では、防潮林の地面がえぐられ、一部が崩れるまでになっている。
計画は、この台風被害の手当てが目的。浜崖沿いに約20メートルの幅で、消波ブロックを覆うように砂利混じりの土を、表層1メートルには砂を入れ、浜崖から水際までをなだらかにつなげたい考え。
国交省による河道掘削は、五ケ瀬川の流下能力を上げる目的で行うもので、大瀬川との隔流堤の五ケ瀬川側にたまった土砂を取り除く。7月上旬から始める予定という。
県はこれに先立ち、大瀬川河口から現場まで700メートル間にトラックの通行路を造る工事を、早ければ今週中にも始める。長浜海岸はアカウミガメの産卵地だが、養浜区間には入り込まないように柵を設ける。
説明会には、地元区長、アカウミガメの上陸調査をしている野生動物研究会の会員、地元選出の県議らが参加。「この程度の投入では、すぐに流失してしまう」「潮流の専門家に来てもらい、原因を究明してほしい」「原因がはっきりするまで(営業目的での)砂利採取を許可しないでほしい」「自然な状態では方財までつながっていた毛なし浜を開削したことが、そもそも間違っていたのではないか」などの意見が出された。
県の担当者は「現場は、アカウミガメの産卵地として県の特別天然記念物に指定されているため、これまで土砂などを入れることができなかったが、今回、昨年の台風被害を手当てする目的と、国の河道掘削で現場に適した土砂が入手できるという条件がそろった。元の砂浜に戻してほしいという地元の皆さんの要望に応えるまでのものではないが、第一歩と考えてほしい」と、理解を求めた。