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新型コロナ週刊トピック−前週から43%増加

本紙掲載日:2023-06-24
2面

県内全域で感染が再拡大

 県の感染症週報第24週(12〜18日)によると、県内で新たに確認された新型コロナウイルスの染者数は定点当たり5・88人で、前週から43%増加しました。21日時点の入院患者は57人(前週比13人増)で、重症者はいません。

◆日向・東臼杵、初の「オレンジ圏域」に

 県内7医療圏域ごとの新規感染者数で、日向・東臼杵圏域は定点当たり10・17人と前週からさらに5・1%増加。感染症法上の分類が5類移行後に県が注意喚起の区分を設定してから初めてとなる「オレンジ圏域」(基準値=定点当たり10人以上)になりました。

 また、西都・児湯(定点当たり7・67人)、日南・串間(同7・20人)、宮崎・東諸県(同5・56人)、小林・えびの・西諸県(同5・00人)の4圏域も、それぞれ初めて「黄圏域」(基準値=同5人以上)となりました。

 前週に減少した延岡・西臼杵圏域も同4・56人で再び20%以上増加し、専門家の予想通り、県内全域で感染が再拡大の局面に入ったとみられます。

 県内の定点医療機関から報告された新規感染者数の年代別割合は多い順に、10〜14歳が25%▽5〜9歳が12%▽40代11%▽5歳未満10%▽30代8%▽50、60、70代と80代以上が各6%▽15〜19歳と20代が各5%でした。

◆延岡市は39人増加

 延岡市が独自に集計している新型コロナの週報によると、先週1週間(12〜18日)に協力医療機関から報告された新規感染者数は125人で、前週から39人(45・3%)増加しました。
日別では、12日19人▽13日19人▽14日20人▽15日14人▽16日23人▽17日14人▽18日16人となっています。年代別(集計分=111人)では、40〜65歳が32人(28・8%)で最も多く、次いで20〜30歳と66歳以上が各21人(18・9%)、10代18人(16・2%)、10歳以下6人(5・4%)で、13人は不明でした。

◆県内、7月初めが第9波の入り口か

 感染症が専門の佐藤圭創医師(延岡市新型コロナ対策アドバイザー)によると、現在の感染者数は「第8波」に入る前の昨年12月初めごろの増え方と重なるのだといいます。

 全国的に見ると、週報第24週(12〜18日)で沖縄県はすでに定点医療機関当たりの感染者数が28・74人とほぼ警報レベルに達しています。次いで鹿児島県が同9・60人と注意報レベルに近い状況で、九州をはじめ西日本を中心に増加幅が大きくなってきました。

 佐藤医師はこうした「立ち上がりの傾き(増え始めのスピード)」から、今後2週間程度で全国的に感染が拡大し、県内でも「7月初めが『第9波』の入り口になるだろう」と見込んでいます。

 また、過去のパターンに当てはめれば、夏休みやお盆時期の人の流れにより、夏のピークは7月下旬と8月後半の2回起こる可能性が高いといい、感染者数は爆発的に増加した第8波の「1・2倍から1・5倍」にも達する恐れがあるそうです。

◆XBB1・16が急増

 県内では今週に入って新型コロナの集団的感染により、延岡市を含む小中学校など公立校5校が学年・学級閉鎖を実施し、職場でのクラスター(感染集団)も発生するなど、すでに感染の拡大局面にあるとみられます。

 これまでにもお伝えしているように、原因はオミクロン株のBA・5から置き換わった新たな亜種のXBB系統ウイルスです。中でも急速に拡大しているのがXBB1・16(俗称アークトゥルス=うしかい座で最も明るい恒星)です。

 免疫回避性が極めて高く、これまでに新型コロナにかかった人でも簡単に再感染するだけでなく、1人から感染する人の数(実効再生産数)もBA・5の1・17〜1・27倍強いといいます。

 発熱やせき、喉の痛みといった症状はこれまでと変わりませんが、特徴的なのが目のかゆみや充血、目やにといった結膜炎症状と下痢です。県内でも結膜炎を伴った感染者が増え始めているといいます。

 なお、英国ではXBB1・16の急増に対し、専門家が公共交通機関でのマスク着用を呼び掛けているのだそうです。

◆現場への負担を避けるために備えを

 5類移行に伴い新型コロナは感染症法上、季節性インフルエンザと同様の扱いになったわけですが、インフルエンザが発症後に他人へ感染するのに対し、新型コロナは症状がない潜伏期間から感染力が高まるため、どうしても拡大しやすくなります。

 ほとんどの人は軽症で済みますが、高齢者や基礎疾患がある人などが感染すれば一定割合で重症化するため、感染者数に比例して重症者も増えることになります。県北は平時から医師、看護師など医療人材が不足しており、高度な医療を必要とする重症者が出ると一気に医療現場の負担が増してしまいます。

 実際に延岡市内では昨年夏に重症の新型コロナ患者の治療に追われる中で夜間救急が相次ぎ医療現場がパニックとなって、その後も〃医療崩壊〃と言える状況が起きました。

 これから新型コロナの感染が再拡大すれば急に容体が悪化する人も出てくるため、延岡市医師会では「救急車を呼んだり夜間や休日に受診しないで済むよう、解熱鎮痛剤などを備えておいて、できる限り平日の日中にかかりつけ医を受診していただければ」と呼び掛けています。

◆この時期の接種が肝心

 感染再拡大が見込まれる中で高齢者などが身を守るために有効とされるのがワクチンですが、「自分は感染して免疫があるから接種しなくても大丈夫」と考えている人が多いと聞きます。また、政府が今年度秋開始の追加接種にXBB対応ワクチンを導入すると発表したことで、「それを待って接種すればいい」と言う声も出始めました。

 ですが、先述のように、流行の主流であるXBB1・16は、感染したことで身に付く自然免疫が役に立たず感染力自体も極めて高いことが確認されていて、市町村や医師会は「ピークが来る前にできるだけ早く接種してほしい」と訴えています。

 佐藤医師によると、現在接種しているBA・4、5対応の2価ワクチンでも、50%近い感染予防効果と約80%の重症化・死亡予防効果があるといいます。ピークに入ると接種予約が殺到することも予想され、「まだ間に合いますので、ぜひ今月中の接種をご検討ください」と理解を求めています。


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