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初の凱旋公演、情熱的に

本紙掲載日:2023-10-17
7面

延岡出身の指揮者・山脇幸人さん

 新進気鋭の若手指揮者として注目を集める延岡市出身の山脇幸人さん(31)が14日、同市の延岡総合文化センター大ホールで初の凱旋(がいせん)公演を行った。事前のインタビューで「ふるさとの皆さんに一回り成長した自分を見せることができれば」と語っていた山脇さん。中部フィルハーモニー交響楽団(=中部フィル、愛知県)のタクトを情熱的に振った。

 ロシアの作曲家の曲で構成された壮大なオール・ロシア・プログラムで、チャイコフスキー作曲の歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」で華やかに幕開き。続けて、ストラビンスキー作曲の組曲「火の鳥」(1919年版)、チャイコフスキー作曲の交響曲第5番を演奏し魅了した。

 中でも「火の鳥」と交響曲第5番は奏者、指揮者ともに、かなりの体力と精神力が求められるプロオーケストラの演奏会でも珍しい組み合わせで、エネルギッシュな演奏に観客からは惜しみない拍手が送られた。

 鳴りやまない拍手に応え、最後はアンコール曲としてチャイコフスキー作曲の組曲第4番「モーツァルティアーナ」第3曲「祈り」を優美に演奏し、締めくくった。

 終演後、山脇さんは「ひと言では言えないくらいの感謝の気持ちでいっぱい。プロオーケストラの中部フィルの指揮は緊張したが、ふるさとの皆さんに聴いてもらえることがうれしくて楽しかった。指揮者は聴いてくれる人がいてこそ成り立つ仕事。人との向き合い方をもう一度考え直すことができた凱旋公演になった」と語った。

 友人と来場した延岡市の60代女性は「どの曲もすばらしい演奏で感激した。プロオーケストラの演奏が聞ける貴重な機会で、久しぶりに良い時間を過ごした」。

 延岡学園高校・尚学館中学校高等部吹奏楽部の山下千愛祈(ちあき)さん(16)は「指揮者や奏者の思いが伝わってきて、心に迫るものがあった」と語った。

 終演後、エントランスホールに中部フィルの団員が並び、観客を見送るサプライズもあった。

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