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LL サイズ
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手話クラブ発足、通訳に挑戦
◆難聴学級のある北方学園小−延岡
県北で唯一、難聴学級がある延岡市立北方学園小学校(池野宗宏校長、105人)に今年度、手話クラブが発足した。先月の2学期終業式では、これまで手話を学んできた児童が壇上での通訳に挑戦。子どもたち自ら、共生社会の実現に向けて前進し続けている。
同校には今年度、延岡しろやま支援学校から菊池環那さん(2年)が転入。1年生の時に行った居住地校交流で、本人が「北方学園で学びたい」と思ったこと、「地元の学校に通わせ、地域の子どもたちになじませたい」という保護者の願いからだった。
そういった思いに学校全体で応えようと、同校クラブ活動の一つとして「手話クラブ」を新設。4〜6年生10人が、菊池さんの手話通訳を担当している支援員の齋藤由佳里さんから、年間13回のクラブ活動の時間に手話を学んでいる。
最初は自分の名前を指文字で覚えることから始めた児童。手話の単語は、同じ手話でも違う意味を示し、聴覚障害者は、口の形と文脈で判断しているという。
そういったことを学び「じゃあマスクをしていたらヤバイじゃん」と児童。また、いつも黒っぽい服を着ている齋藤さんについても、「手話の手がはっきり見えるように黒い服を着ているんだ」と話すなど、児童自ら聴覚障害者への理解も深めてきた。
終業式での手話通訳は、これまで齋藤さんが1人で行ってきた通訳の一部を菊池さんへのサプライズとして6年生4人が挑戦。クラブの時間だけでなく、昼休みも集まって練習を重ねてきた。
迎えた本番。緊張した面持ちながら司会進行の先生、開閉会のあいさつを行う教頭先生の横にピタリと付いて立ち、手話通訳。式終了後には、「間違えたー」「緊張したー」と口々に叫びながらも、教職員からの褒め言葉、励ましの言葉に安堵(あんど)の表情を見せた。
部長の春田英大さん(6年)は「恥ずかしかったけど、いいことができたかなと思う。(菊池さんが)喜んでくれたらうれしい」とにっこり。菊池さんは「びっくりしたけど、すごく上手だと思った。よく分かった」と感謝していた。
日ごろの授業は、齋藤さんの手話通訳を受けて2年生の同級生たちと学習し、国語と算数のみ、難聴学級のすまいる学級で担任の後藤律子教諭と学んでいる菊池さん。
同級生は「ありがとう」などの簡単な言葉をどんどん覚え、2年生の教室では活発に手話が飛び交っているという。また、家庭教育学級で親子手話教室を開催すると多くの参加があるなど、関心も高まっており、「環那さんがいることで手話の輪がどんどん広がっている」と岸田征子教頭。
上級生も、手話クラブの児童を中心に菊池さんに積極的に話し掛ける姿が見られ、周りの児童の刺激にもなっている。
「もっと環那さんと話したい」という子どもたちの純粋な願いが、意欲的な学びや思いやりある行動につながっている。