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人形や縫いぐるみに感謝

本紙掲載日:2021-05-10
6面
手を合わせて人形に感謝する参列者
ご神火で人形を焼納

今山八幡宮で供養祭−延岡

 古くなった人形に感謝をささげて供養する「人形供養祭」が9日、延岡市山下町の今山八幡宮人形塚であった。今年は市内のほか県北の各市町村、また東京などから80件を超える依頼があり、このうち近隣に住む人たちが参列して、ひな人形や五月人形、日本人形、縫いぐるみなどを焼納した。

 神事では人形をはらい清めた後、伊藤俊郁宮司が、奉納者すべての名前を読み上げて祝詞を奏上。氏子や参列者が玉串をささげて手を合わせた。

 神事に続いて火入れ式があり、氏子の代表が、火をともした矢を持って、積み上げられた人形に点火した。神職が「大祓詞(おおはらえのことば)」を詠唱する中、激しい炎が立ち上り、参列者はその炎と煙を静かに見守っていた。

 諸塚村の50代女性は市内に嫁いだ娘から供養祭の実施を聞いて訪れた。娘のひな人形や嫁ぎ先の五月人形などを焼納し「普通には捨てられない物ですから、こうやって納めさせていただけて良かった」と話していた。

 神事を終えた伊藤宮司は、参列した人たちに「樹木をはじめ、自然界の万物には、み霊が宿っており、感謝の気持ちをささげることで、次の力を頂けるという考えは日本人の精神の根幹。人形も同じです。この心をこれからも大切に伝えてください」と話した。

 同神社によると、人形は「ひとがた」として、心を伝え生命を表すものであり、古くから粗末に扱うことが戒められてきた。このため、毎年この時期に同祭を行い、思い出や愛情のこもった古い人形を焼納している。

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