災害時にも役立つパラコードのブレスレット

「普及させたい」県内高校家庭クラブが研修

　家庭科学習の成果を家庭や地域の課題解決に生かすことを目的とする「高校家庭クラブ」の指導者育成講座が７月２６日、延岡市の県立延岡商業高校を主会場に、宮崎市の宮崎農業高校とオンラインでつないで開かれた。

◆家庭科学習を課題解決に生かす

　県立３１高校の代表生徒１１６人、職員４９人が、県北地区は延岡商業、中部・南部地区は宮崎農業で受講した。パラコードというひもを使ったブレスレットの作り方と、その手順を紹介する動画の制作方法を研修した。

　パラコードはパラシュートで人や物資をつるす際に使われるひも材で、１本が１８０キロの重さに耐えられる強度を持つため、アウトドアや防災用具としても重宝されている。６本の芯をばらして使うこともでき、さらにその繊維が丈夫な糸にもなるため、さまざまに活用できる。

　生徒らは、パラコードを編んでブレスレットとして常備しておけば、災害時などにほどいて活用してもらえると、今回の講習内容を企画。普及のための動画も作ることにした。

　県北会場には、高鍋を含む９校から計約５０人が参加。最初に延岡商業の教諭が動画の完成イメージを示しながら、手ぶれや逆光に注意し、同じ場面を複数パターンずつ長くなりすぎないよう録画することなど、撮影のポイントをアドバイスした。

　その後、各校の生徒らが分かれて班をつくり、交流しながらブレスレット作りを練習。全員が手順を覚えると再び学校ごとに集まり、タブレット端末を使って、思い思いに製作手順の動画を撮影した。

　このうち、延岡工業の生徒らは円陣になってブレスレットを着けた腕を伸ばし、職員に真上から静止画と動画を撮影してもらうなど工夫。また、受講生は撮り終えた映像をつなぎ合わせて、説明文や音楽、効果音を重ねたり、別枠の映像や写真を挿入したりする編集作業にも挑戦した。

◇２０２３年、本県で全国大会

　養成講座より先には県高校家庭クラブ連盟（会長・安楽耕三延岡工業高校長）の総会も実施。生徒らは、５０年ぶりに本県で開催される２０２３年の第７１回全国高校家庭クラブ研究発表大会に向け、実行委員会を中心に６専門部で準備を急ぎ進めるよう申し合わせた。

　同連盟によると、家庭科は男女共通の必修科目で、高校家庭クラブも県内ほぼすべての公立校が設置。その全生徒がクラブ員となっており、毎年、地区―県―九州―全国の発表大会を通じて、活動を普及している。

　指導者養成講座は活動の中心となる生徒や職員を対象に毎年、地区持ち回りで開催。「結〜私たちからつなげよう」をテーマに今回の講座を主導した同連盟生徒会長の飯干愛来さん（延岡工業３年）は、「こうした機会を通して各校のクラブ員が仲良くなれるといい。パラコードを学校だけでなく、家庭や地域にも広めて必要な時に役立ててほしい」と期待を込めた。