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昆虫写真家・新開孝さんが新刊

本紙掲載日:2021-08-07
7面

「子育てがんばる、カメムシのおかあさん」

◆延岡市で10年かけ撮影−ベニツチカメムシの暮らし

 三股町在住の昆虫写真家、新開孝さん(62)の写真絵本「子育てがんばる、カメムシのおかあさん」が、小学館から出版された。延岡市の愛宕山や延岡植物園(天下町)、金堂ケ池(西階町)で撮影したベニツチカメムシの写真を豊富に使って、生態を紹介している。

 新開さんは愛媛県生まれ。東京を拠点に活動していたが、昆虫の多い自然環境を求めて2007年春から三股町に住んでいる。

 ベニツチカメムシは、日本では九州と沖縄にしか生息しておらず、鮮やかな赤と黒の模様をしている。集団で生活し、「子育て」をすることなどが特徴。

◇ボロボロノキが唯一のすみか

 新開さんは同年夏、佐賀県の研究者を訪ねた際にその生態を知って魅力を感じ、時間をかけて追い掛けてみたいと、宮崎県内で居場所を探し始めた。あるブログから、愛宕山付近で見られることを知り、ベニツチカメムシの唯一のすみかというボロボロノキを目印に探した。しかし、ボロボロノキも点々としか生えないことが特徴のため、見つけるのに苦労したという。

 08年夏、ついに発見。一生に一度の産卵の様子や子育ての様子、卵を守ったり、餌を見つけるために動き回ったりする姿を10年かけて撮影した。

 新開さんは「少しでも多くの人にこの赤いカメムシの暮らしを知っていただき、小さな生き物を通して、自然を広く理解する一助にしてもらいたい。また、身近にある自然に誇りを持ってもらいたい」と話し「ぜひ、ベニツチカメムシを実際に見てほしい」と強調した。

 「子育てがんばる、カメムシのおかあさん」は菊判12取(205ミリ×231ミリ)、オールカラー40ページ、1430円。初版5千部を発行。全国の書店で購入できる。

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