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「延岡の薪能は一級品」能楽師の橋本さん

本紙掲載日:2021-08-23
7面
能装束の着付けなどを交え、今年の演目の見どころを語る橋本忠樹さん

能楽講座始まる−本番前に学ぼう

 「第24回のべおか天下一薪能」を前に、今回の演目について学ぶ能楽講座が今月11日、延岡市の市民協働まちづくりセンターで始まった。全3回予定されており、初回のこの日は、同薪能に第2回から出演している観世流シテ方の能楽師・橋本忠樹さん(47)が、ストーリーや見どころを分かりやすく語った。

 能「橋弁慶」については「誰が登場し、何の場面かが一目瞭然。こんなに分かりやすくて面白い曲はない。そして何より曲が短い。目まぐるしく展開し、あっという間に終わる。初めて能を見るという人も十分に楽しめる」。

 能「葵上」については「後半、六条御息所の怨霊は鬼の姿になる。その時の般若の能面の表情を見逃さないでほしい。鬼になりたくてなったわけではない一人の女性の悲しげな表情がふっと表れる。それが能面の持つ奥深さ」などと語った。

 また「延岡の薪能では、師匠(片山九郎右衛門さん)は常に小書き(特殊演出)の能を演じる。小書きの能は、能楽師の持てる最高の技術を詰め込んでつくられたもの。だから面白いし、延岡の薪能は一級品なのです」と力を込めた。

 この他、能装束の着付けなども披露し、参加者は興味深そうに見入っていた。

◆次回は来月8日−「橋弁慶」と「仏師」

 能楽講座は来月8、22日にも開かれる。参加無料。

 8日は、能楽ジャーナリストで薪能FMラジオ解説者の石淵文榮さんが「物語のはじまる場所『五条わたり』〜能『橋弁慶』、狂言『仏師』を中心に〜」と題し語る。

 22日は奈良県立万葉文化館指導研究員の井上さやかさん(延岡市出身)が「万葉歌にみる死生〜葵上・橋弁慶の道しるべとして〜」と題し語る。

 いずれも午後7時から、延岡市東本小路の市民協働まちづくりセンターで。定員50人。参加希望者は事前にNPO法人のべおか天下一市民交流機構(電話延岡33・0248、メールtengaichi@dolphin.ocn.ne.jp)へ申し込むこと。

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