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北川湿原に秋の足音

本紙掲載日:2021-09-07
7面

タデ科植物花盛り−チョウやトンボも

 朝夕に秋の気配を感じる頃となった。延岡市北川町の北川湿原では、タデ科植物の小さな花が見頃を迎えている。色とりどりのチョウやトンボも飛び交い、湿原は1年で最もにぎやかな季節を迎えている。

 北川湿原は家田、川坂地区に広がる湿原の総称。広さは計20ヘクタール。絶滅危惧種の動植物が50種類以上生息し、学術的に極めて価値が高いとされる。

 日本の重要湿地500、ラムサール条約湿地潜在候補地に指定されるほか、祖母・傾・大崩ユネスコエコパークの移行地域にも含まれている。

 タデ科の植物は絶滅危惧種を含む10種類以上が自生する。この時期から多く見られるのが「ナガバノウナギツカミ」だ。

 茎に下向きの毛があり、滑りやすいウナギでもつかめそうなことが和名の由来。川坂湿原の遊歩道沿いなどに群落があり、直径5ミリに満たないほどの小花が辺りをピンク色に染めている。

 勢力を争うように混生するのが県の絶滅危惧IA類に指定される希少種の「サデクサ」。花はコンペイトーのようなかわいらしい形でピンクや赤に色づく。

 他のタデ科植物より一足早く咲く「シロバナサクラタデ」は今が盛り。高さ50センチほどの茎の先が稲穂のように垂れ、白い小花が密に咲いている。

 よく似た「サクラタデ」は家田湿原に多く自生するが、草に埋もれて見落としそうだ。その名の通り桜のような薄いピンク色の花をいくつも咲かせている。

 蜜を求めて花から花へと飛び回るのは羽に大きな目玉模様のあるチョウ「タテハモドキ」。それより小さい目玉と波形の模様が特徴の「ヒメウラナミジャノメ」、羽の青い筋が鮮やかな「アオスジアゲハ」の姿も。

 湿原は「トンボの楽園」としても知られる。秋の川面を乱舞するのは「ハグロトンボ」。その名の通り雌は全身真っ黒だが、雄の胴体は金緑色に輝く。ハートの形をした交尾の様子も観察できる。

 羽に褐色の帯が入る「ミヤマアカネ」や顔に眉状の黒斑がある「マユタテアカネ」などいわゆる赤トンボの仲間も多く飛び交っている。


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