田んぼ縁取る彼岸花−五ケ瀬町鞍岡

日本の棚田百選−日蔭棚田で見頃

　農林水産省の「日本の棚田百選」に認定されている五ケ瀬町鞍岡の日蔭（ひぞえ）棚田で、彼岸花が見頃を迎えている。

　祇園山の麓に広がる日蔭棚田では、地元住民らが田畑のあぜなどに植栽した彼岸花が多く育っている。地元の農家などでつくる「日蔭集落協定」の渡邊勝文会長（５９）によると、今年は例年より早く今月初旬から咲き始めたという。

　田畑の緑や稲穂の黄金色と赤い彼岸花が成す鮮やかな色の対比が、見る人の目を引き付ける。また、あぜだけでなく棚田周辺の道沿いや人家の敷地内などでも彼岸花が咲いており、集落の広い範囲で楽しめる。

　渡邊会長によると彼岸明けぐらいまでが見頃という。「彼岸花が咲くと、みんなで『稲刈りの時期じゃね』『彼岸が近くなった』と話す。彼岸花を見て心を和ませてもらえれば」と話した。

◆コケアートも登場

　日蔭棚田の町道側面に「棚田１００選」の文字や彼岸花、稲穂、トンボなどのイラストが登場し、見る人を驚かせつつ楽しませている。

　文字やイラストは高さ約３・５メートル、横約２０メートルにわたって〃描かれた〃コケアート。渡邊会長が日蔭棚田をＰＲしようと初めて制作した。

　７月中旬に、高圧洗浄機で擁壁のコケなどを洗い落として、浮かび上がらせた。失敗が許されない一発勝負だったが、脚立などを用い、１日がかりで見事完成した。

　稲刈りが終わった後には、「日蔭棚田」の文字も描こうと計画中という。渡邊会長は「少しでも多くの人に日蔭棚田のことを知ってもらえたら」と話した。