「サッカーで延岡を盛り上げる」

目指す未来へステップアップ−九州リーグ昇格のＡＧＡＴＡ

　「ＩＬＯＶＥ延岡」。決勝直前や表彰式後、誰からともなく、声が上がる。多くは、プロサッカー選手になるという夢だけを抱いて、ゆかりのない延岡で働き始めた２０代の若者たち。２０１９年、県北からＪリーグという破天荒な目標を掲げ創設したＦＣ延岡ＡＧＡＴＡが文句なしで、次のステップに進んだ。

　選手は、延岡市内の協力企業でフルタイムの勤務。当然、全体練習は就業後で、競技に注げる時間はプロ選手とは大きく異なる。

　昨年２月、クラブの桑原英一社長の次男で、元Ｊ１・サガン鳥栖コーチの桑原勇斗監督が就任。多彩なスタッフも集い、組織として着実に前進してきた。

　今大会出場チームで唯一、Ｊを目指すＡＧＡＴＡ。負けられない戦いだったが、「プロを目指す以上、２４時間をサッカーのために」。桑原監督の指導を受け止めた選手たちにとっては、負けるはずのない戦いだった。

　走る距離や速さに、体の強さ―。技術はもとより、アスリートとしての基礎能力で圧倒する。そして、ボールを取られても、すぐに死力を尽くし取り返す。選手層の底上げも奏功し、交代出場した選手も遜色ない活躍。２日間で３試合というハードな日程を相手にほとんどシュートを許さず、乗り切った。

　主将の亀井海凪人は「去年、負けた大会なので、うれしい気持ちでいっぱい。目指している場所に行くために、全員が練習から厳しく求め合ったことが、結果につながった」とほっとした表情で振り返った。

　亀井は続ける。「ぼくたちはサッカーで延岡を盛り上げたい。そのために応援に来ていただいた人に感動を与えられるチームになる」。若者の一生懸命な姿が、地域に活力を与える。クラブが目指す未来が、形になり始めている。


▽１回戦
ＦＣ延岡ＡＧＡＴＡ　９　３―０　０　光陽クラブ（福岡）
　　　　　　　　　　　　６―０
▽得点＝亀井、吉武２、深澤、野田、天川、瀬川２、森永（延）

▽準決勝
ＦＣ延岡ＡＧＡＴＡ　３　１―０　０　ＫＡＪＩＫＩ（鹿児島）
　　　　　　　　　　　　２―０
▽得点＝森永、深澤、瀬川（延）

▽決勝
ＦＣ延岡ＡＧＡＴＡ　８　５―０　０　耶馬溪ＦＣ（大分）
　　　　　　　　　　　　３―０
▽得点＝池元、伊集院３、瀬川、吉武、天川、亀井（延）