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個性あふれる30点−27日まで

本紙掲載日:2022-03-23
7面
ファン・シーチェさんのオブジェの前で、来場を呼び掛ける土井理事長
よしだぎょうこさんの個展も同時開催

有田・井上文化財団第2回コレクション展

◆世界的なアーティスト育てる風土つくりたい

 延岡市に美術館を建設することを目指し2019年に設立された有田・井上文化財団(土井裕子理事長)の第2回コレクション展が、27日まで同市本小路のカルチャープラザのべおか2階アートギャラリーで開かれている。観覧無料。開場は午前9時〜午後5時。

 五ケ瀬川流域ネットワークが例年行っている町歩きイベント「東海さるく」で実施される「アーティスト・イン・レジデンス(滞在型作品制作)」で作られた海外アーティストの作品約30点を紹介。

 ンベルト・デュカさん(メキシコ)のイラスト、フロッグ・キングさん(香港)の服飾作品、会場に横たわるように膨らむファン・シーチェさん(台湾)のオブジェなど、個性あふれる作品が並ぶ。海外アーティストたちが当時、地元の人と交流する様子を撮った写真も合わせて展示されている。

 東海さるくのアーティスト・イン・レジデンスは、04年に初めて実施。2回目以降はISCP(インターナショナルスタジオ&キュレートリアルプログラム)に在籍する海外アーティストを対象に、東日本大震災以降は、国内の芸術系大学の学生を対象に続けられてきた。

 土井理事長は「日本を、延岡を世界的なアーティストを育てられる風土にしていきたい」と意気込む。「延岡には東京に無い魅力がたくさんある。この活動に参加した海外アーティストも皆、延岡のことを気に入って帰っていった」と強調。「もっと延岡のことを誇りに思ってほしい。そしてできれば、芸術や美術を文化としてではなく、経済として育てていってもらいたい」と呼び掛けていた。

◆よしだぎょうこさんの個展−「わらうみず」同時開催

 また、会場手前のフリースペースでは、第1回「アーティスト・イン・レジデンス」に参加し、その後は同レジデンスの参加者を推薦、指名する役割を担っているよしだぎょうこさん(金沢美術工芸大学准教授)による個展「わらうみず」も同時開催している。

 よしださんは現在、大学の研究休暇を利用して延岡市に滞在。河川資料館「リバーパル五ケ瀬川」で寝泊まりしながら、半年をかけて作品を制作してきた。

 今回は自身が大好きだというリバーパルの2階から見えるアシ原の情景を表現。中央に設置した砂場には「彫刻」と題して、何本もの枯れたアシを天井から真っすぐつり下げて立たせた。壁には白と黒だけで塗ったアクリル画や鉛筆、ポールペン画のパネルを展示した。随所に配置した鏡は、水や空をイメージしているという。

 アシの実を風で散らしたものやドローンで撮影した上空映像を下敷きに制作するなど「自分の作為を入れない(入れすぎない)」ことに、とにかくこだわった。

 ここ10年ほど、作品を発表できていなかったというよしださん。「車の免許を持っておらず、出掛けられなかったので、今回の作品作りはほぼ軟禁状態だったが、心が浄化されるとても充実した時間だった」と語る。「いかに現代美術の哲学を捨てて絵に向き合うかというのが、今の自分のテーマでもあったので、そうした意味でも良いリハビリになった」とすがすがしい表情で振り返った。

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