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こらいまれなる古希コンサート

本紙掲載日:2022-04-04
7面
コンサート最後は佐藤直子さんの指揮で「コール・ベル」「22Boys」のメンバー全員で合唱
延フィルとスイートエコーの共演で「動物の謝肉祭」。朗読は大神さん
平和への祈りを込めて歌う大神のりえさん。ピアノは「延岡中1年5組の同級生」の児玉裕子さ
ほぼ満員となった延岡総合文化センター小ホール

延岡高22回生とその仲間−さまざまな思い音楽に込めて

 古希を迎えた延岡高校22回生(1970年3月卒)を中心に、同級生とその仲間による「こらいまれなるコンサート〜時を超えてめぐり逢(あ)う音たち」が3日、延岡総合文化センター小ホールであった。同級生同士で創り上げる温かなステージに、ほぼ満員の客席から惜しみない拍手が送られた。

 コンサートは、長く音楽活動を続け、交流していた22回生の椛山達己さん(昨年12月に69歳で逝去)、佐藤直子さん、大神のりえさんと、佐藤さんとピアノデュオを組み、大神さんとは中学の同級生である児玉裕子さん(宮崎市在住)の4人が古希記念に企画。2020年11月に8人からなる実行委員会を立ち上げ、2カ月に1回の実行委員会では、椛山さんを中心に構想を練り、本番に向けて練習を重ねてきた。

 出演したのは、椛山さんが音楽監督を務める延岡フィルハーモニー管弦楽団(愛称・延フィル)、佐藤さん指導の男声コーラス「22Boys(ニーニーボーイズ)」(井上光正代表)、女声コーラス「コール・ベル」(寺田定子代表)。

 当初、椛山さんの編曲、指揮で合唱する予定もあったが椛山さんは帰らぬ人に。告別式の帰り、実行委員は「彼と共に」と思いを確認した。

 大神さんの独唱「この道」で幕開け。ニーニーボーイズは男声ならではの落ち着いた歌声、コール・ベルは、振り付けも交えて美しいハーモニーを響かせた。佐藤さん、児玉さんのピアノデュオ「SweetEcho(スイートエコー)」による連弾もあった。

 第2部は、スイートエコーと延フィル(小編成)の共演でサン=サーンス作曲の「動物の謝肉祭」。ピアノデュオの佐藤さんと児玉さんは「お膳立てしてくれた椛山くんに迷惑が掛けられないと思い、すごく練習した」という。延フィルと共にライオン、ゾウ、白鳥などを見事に表現。大神さんは1曲ごとに谷川俊太郎作の詩を朗読し、さらに情景に厚みを出した。

 最後は「大地讃頌」「行こうふたたび」を全員合唱。指揮棒を握る予定だった椛山さんの思いを乗せ、「まだまだ頑張れる」と決意を感じる歌声に大きな拍手が送られた。

 司会の太田素一さんは「過去を見れば今の自分が一番老いている。未来を見れば今の自分が一番若い」と本の一節を紹介。「それぞれの立場でこれからも地域で頑張っていきたい」と決意を述べた。

 終演後、見送る出演者に「感動しました」「元気が出ました」「素晴らしかった」とねぎらいの言葉が掛けられ、余韻に浸る観客の姿が数多く見られた。

 児玉さんは「ホッとしました」と感想。佐藤さんは「同い年で集まれて実現できて良かった。つくづく幸せ。喜寿(77歳)に、と言っている人たちがいる。もしかしたら…」と笑った。

◆平和へ祈りの歌声−ハッピーバリーの大神さん

「椛山君 私たち頑張ったよ」

 インド国際子ども村ハッピーバリー代表として長く国際平和活動を続けてきた大神さんは、「さとうきび畑」「アヴェ・マリア」を世界平和の祈りを込めて歌った。終演後、「やろうと言い出してから長くかかったが、この日が迎えられて良かった」と安堵(あんど)しつつ、複雑な思いを話した。

 実は、当初コンサートは昨秋の予定だった。しかしコロナ禍で予定通りに海外と行き来できない中、インド滞在期間と重なり、いったんは出演辞退を申し出たが「椛山くんが『いつ帰れるんだ、待っちょくから』って言ってくれて…」。

 それだけに椛山さんの訃報をインドで聞いた時は「私のせいで椛山くんが出演できなかった」と、ショックから抜け出せなかった。

 そんな中、佐藤さんの「絶対に泣いたらだめよ」という強い励ましが前を向かせた。毎日泣きながら練習。3月上旬に帰国した後は、仲間と共に涙をこらえながら練習した。

 そして本番。平和への祈りを込めて歌った。しかし最後の全員合唱では「椛山君がいないというのがすごくつらかった。寂しくて、涙が出て歌えなかった」という。

 それでも「受け付けもみんな同級生。来るなり同窓会って感じで幸せだったし、ありがたかった。みんな温かい人ばかりで、みんなのおかげ」と感謝。

 「77歳でまたコンサートをしようと話しています。みんなが続けないと実現しません。また目標ができました」と前を向いた。

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