応接室の壁に恩師の大作

ハウジング情報プラザ

◆石井秀隣さんが激励「文化のある不動産屋目指せ」

　案内された室内に入ると、視界いっぱいに鮮烈な赤が広がる。
延岡市出北のハウジング情報プラザの応接室にこのほど、高鍋町在住の画家で県文化賞受賞者、石井秀隣（ひでさと）さん（８８）の大作４枚が掛けられた。

　同プラザ社長の井上剛さん（７０）にとって、石井さんは延岡高校時代の恩師。当時、姉の影響でラグビー部から美術部に転身した井上社長は、石井さんから手ほどきを受け、油絵、鉛筆デッサン、グラフィックデザインを３年間学んだ。部室の隣にあったアトリエにもよく足を運んでいたそうで「あまり多くを教えず、背中で語るような先生だった。今でも尊敬しています」と当時を懐かしむ。

　４枚は１２０号が１枚、１００号が３枚で、タイトルはいずれも「活（いのち）」。目を見張るような赤を基調とする色彩と、ペインティングナイフなどを使って作り出された凹凸が、あふれ出る生命力をまざまざと感じさせる。

　県立美術館で先月開催された「石井秀隣画業７０年展」で展示されたもの。「単なる不動産屋ではなく、文化のある不動産屋を目指せ」との激励と共に、４枚を一度に譲り受けた。

　「最初は４枚も（部屋に）入るか不安だったんですけどね」と井上社長。来客にも好評で「自分自身、石井先生の絵に囲まれていると和むし、心が活性化します」と笑顔で語る。「会議中や難しい商談の時、絵画を見て少し脇道にそれてみるのもいいんじゃないかと思うんです」

　石井さんは１９６８年延岡市文化功労者、２００７年県文化賞、地域文化向上功労者（文部科学大臣表彰）受賞者。高千穂高、延岡高、高鍋高、本庄高で教壇に立った。