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県在住者として初の入賞

本紙掲載日:2022-05-20
7面

菊池憲さん(延岡)「あしあと」

◆日本最大級の公募展「国展」絵画部

 県立美術館学芸課主幹の菊池憲さん(51)=延岡市出身=が今春、日本最大級の公募展「第96回国展」(国画会主催)の絵画部で会友賞を受賞した。絵画部での入賞は、県出身者としては第46回以来、50年ぶり。県内在住者としては初めての快挙となった。延岡市古城町の自宅アトリエを拠点としており、「県北で作品を制作し、発信することを地道に続けてきた。地方だとかは関係なく、見つけてくれる人がいる。もっといい表現がしたいと前向きな気持ちになった」と喜んでいる。

 菊池さんは延岡東高から、大分県立芸術短期大美術科絵画専攻卒業。美術科教諭として東海中、南中(以上延岡市)、富島中(日向市)などで教え、西郷中(美郷町)では教頭として勤務した。

 県美術連盟会員で、2003年、33歳の時に国展初入選。15年からは5年連続で同展の入賞候補に。17年には第4回九州国展で最高賞の「九州国画賞」を受賞。毎年1月に東京・銀座でともにグループ展の「8の視てん」展と「方位磁石展」を開くなど精力的な活動を続けている。

 県立美術館(宮崎市)での勤務も長く、今回の受賞作「あしあと」の源には、学芸員としての経験があり、14年にアートプロジェクトを開いた日之影町鹿川地区の風景から着想を得たという。

 F130号におよそ4カ月で制作した作品のコンセプトは−。

 「形ある物は、時の流れと共に朽ち果てていく。しかしその儚(はかな)さの中に、消えることなく心に刻まれた人々の想(おも)いや、当時の空気感はどれだけの時間が過ぎようと、そこに存在し続けている。これは人々の心も同じであり、ずっと心に思い出として足跡のように残されていく。この『あしあと』を大切にしていきたいという想いで表現した」

 今年の国展では、日向市の落合直文さんも入選を果たした。展覧会は今月16日まで、東京・六本木の国立新美術館で開かれた。地方での巡回展も予定されており、福岡展(福岡県立美術館)は6月21日から26日まで。菊池さんと落合さんの作品も展示される。

 菊池さんは「いい絵が描きたいではなく、いい表現がしたい。言葉や音楽などいろんな表現があり、県北でいろんな分野の表現者が高め合えるようなつながり、環境がつくれないか」と考えている。

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