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矢野さん(矢野商会)が職業講話−五ケ瀬・三ケ所小

本紙掲載日:2022-06-24
7面
講話、質疑応答などがあった職業講話

「今が一番幸せ」

 キャリア教育の一環として、五ケ瀬町立三ケ所小学校(藤川貴司校長、56人)は20日、地元で活躍する職業人の講話「未来へのとびら」を行った。4〜6年生26人が、町の魅力や仕事のやりがいに関する話に耳を傾けた。

 講師は網戸の修理、電気、水道、ガスなどさまざまな仕事を行っている矢野輝美さん(67)=矢野商会代表、同町三ケ所=。矢野さんは同校出身で、神奈川県に住む親戚への憧れから同県の高校に進学し、慶応大学を卒業後、東京でパソコン関係の会社に就職した。

 しかし、1995年に起きた地下鉄サリン事件などを受け、矢野さんの身を案じた家族の勧めで帰郷。同町で同様の職種を探したが見つからなかったため、「学んで無駄だったことは一つもない」という学友の言葉を思い出し、建設業界に飛び込んだ経歴を持つ。

 この日はまず、県町村会が製作した同町のPR動画を上映。一面銀世界のハイランドスキー場、神秘的な雰囲気を醸し出すうのこの滝、勇壮な白滝と鮮やかな紅葉などを紹介し「あなたたちが住む五ケ瀬町はこんなにきれいなところ」と呼び掛けた。

 自身の経歴については、建設業界に就職後、スコップを持って走り回ることしかできなかった日々を告白。勉強を重ね、少しずつ資格や可能性の幅を広げていったことを明かした。

 その後、工事案件が減る夏場に行い大好評だった草刈りの話を挙げて、「今までの仕事は大勢の役に立っていたと思うが、お礼を(直接)言ってくれる人はいなかった。小さな仕事でも、直接感謝を伝えてもらえることがうれしかった」と強調。

 面と向かって言われる「ありがとう」の喜びが12年前に今の仕事を始めたきっかけといい、「56年たってようやく向いている仕事に出合えた。給料は昔の4分の1くらいだが、今が一番幸せ」と笑った。

 6年の坂本蒼介さん(11)は「小さい仕事でも誰かの役に立つと聞いて自信が持てた。将来は飼育員になりたいので、五ケ瀬町に動物園ができたらそこでみんなのために働きたい」と話した。

 矢野さんは同町の人口減少を憂いつつ、「視野を広げるためにも町外に出ていくことは大切なこと。その時までに地元の良いところをたくさん知って、五ケ瀬町で育ったことを自慢できるような大人になってほしい」と話した。

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