「楽しみながら絵を続けて」

画家の國武さん（熊本県）が絵画教室−五ケ瀬

　熊本県山都町の画家、國武賢聖さん（５７）の「透明水彩画教室」は２３、２４日、五ケ瀬町三ケ所の自然の恵み資料館であった。町内の小中学生や一般の参加者計２０人が絵筆を持ち、國武さんの助言を受けながら描画を楽しんだ。町教委主催。

　國武さんは、画業と農林業の二足のわらじを履く異色画家。幼少から絵を描くことが好きで、現在は農作物の有機栽培などに励みつつ、絵画や筆文字の制作販売、山都町で水彩画教室を主宰するなど活動している。

　結婚、妻の出産、仕事の退職などを経て１９９０年ごろに本格的な活動を開始。自分の絵で楽しそうに遊ぶわが子の笑顔がきっかけといい、ほぼ独学ながら、絵本「通潤橋・水が通る橋」の作画担当や、熊日出版文化賞を受賞するなど高い評価を得ている。

　同教室は、絵画に親しみ五ケ瀬町の芸術文化振興を図ることなどが狙い。１年ぶり２回目で、今回は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、３パートに分けて実施。２３日は五ケ瀬中等教育学校生、２４日の午前は一般、午後は町内の小中学生が参加した。

　このうち、一般の部には７人が参加。入道雲が立ちのぼる海と、空が白み始めたような山の景色を青色の濃淡のみで描き、筆の運びや絵の具の伸ばし方などを練習した。

　その後、國武さんの作品から草むらにたたずむ猫の描画に挑戦。「絵に正解はない」「完璧を目指すと苦しくなる」などとアドバイスを受けながら、色や構図を変えたり、猫を犬にしてみたりと自由な発想で楽しんだ。

　普段は全く絵を描くことがないという田崎英智さん（６７）＝同町鞍岡＝は「色の伸ばし方だけでさまざまな表現ができる点が興味深く、とても勉強になった。顔の描き方などは難しかったが、楽しかったので続けていきたい」と笑顔。

　國武さんは「絵は１００％を目指すと疲れてしまうため、続けることの方が難しい。私は楽しく好きなものを描いているだけ。皆さんも無理せず、楽しみながら続けてもらえたら」と話した。