懸命の攻撃及ばず

本紙掲載日：2022-08-12

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第１０４回全国高校野球選手権大会

　富島は懸命の攻撃を見せたが及ばず。４番の山口は「自分たちの野球があまりできず、悔しい」と絞り出した。

　１４０キロ中盤の左右の投手を擁し、堅い守りの相手に積極性と、チーム戦術を徹底し１点ずつを目指す。姿勢は貫いた。

　初回、先頭の坂本は「（守りで）ミスがあった。取り返す」。積極的に振って、中前にはじき返す。二回は２死二塁から、海野が絶妙なバント。三塁内野安打で好機を広げた。

　六回までは、粘り強く四球をもぎ取り、何度も得点圏へ。だが、フライアウトも多く、流れを変える１点は遠かった。

　五回は２死一、三塁から一走の山口が盗塁を仕掛けるが、相手捕手の冷静な対応に「動揺してしまった」。一、二塁間で挟殺された。六回２死満塁から救援した右腕に対しては、「スライダーが予想以上だった」と坂本。全国レベルの守りの壁は厚かった。

　濵田監督は「相手投手が良く、点が取れず苦しかった。（新チームは）練習メニューもいろいろ考えながら工夫して、打てるチームにしていきたい」と話した。

▽２回戦・第４試合
下関国際１００００２０１１－５
富　島　０００００００００－０
（下）古賀、仲井―橋爪（富）日髙―日柳
▽二塁打＝赤瀬２、賀谷（下）
［評］観衆は１万７０００人。富島の日髙は１６２球を投げ、不運な当たりを含め１３安打、９奪三振、四死球４。打線は坂本の２安打などに５四球を選んだが、前半の好機を生かせずに１０残塁。七回以降は相手の救援右腕を前に走者を出せなかった。

◆「甲子園１勝」願い声援－３塁側アルプススタンド

◆富友会同窓会関西支部

三度目の甲子園に、富友会も寄付集めや応援への呼び掛け、グッズ配布など手際がいい。特に関西同窓会は、出迎える側として奮闘。白畑耕蔵会長（７２）は「大変なことは多いがうれしい悲鳴。何回でも甲子園に来てほしい」と笑顔で話した。
顧問で、近畿日向会の伊賀絹代会長（７３）は「県大会で優勝したと知り、学校に電話をしたら涙が出た」とまた涙。選手たちが大阪入り後、仲間と宿舎に差し入れするなど歓迎したといい、「今回こそ勝てそう」と試合前から気合十分。

◆日向市の十屋市長

県大会決勝と同様に、応援に駆け付けた日向市の十屋幸平市長は、「コロナで生活も経済も苦しい中、勇気と元気を与えてくれてうれしいし、市民も盛り上がっている。守り勝つ野球で、一生懸命練習してきたことを出し、目標を達成して」とエールを送った。

◆駆け付けたＯＢ

祝日も重なり、多くのＯＢが駆け付けた。久々に会うメンバー同士もいて、後輩が設けてくれた〃同窓会〃を楽しみながら試合開始を待った。２０１９年の甲子園メンバー・内山大夢さん（２０）＝日向市＝は「富島らしい、ピッチャーを中心としたプレーで勝ってほしい」と、後輩たちに託した「甲子園１勝」の達成を願った。

◆坂本選手のクラスメート

初回から出塁するなど活躍を見せた坂本竜哉選手のクラスメート、大城凜花さん、富山茉莉さん（共に商業科３年）は３回を終え、「クラスではいつも明るく、先生も巻き込んでみんなを盛り上げてくれるムードメーカー。きょうは人が変わったみたいでギャップを感じる」と笑顔。
「１年生の時から甲子園に連れていくと言ってくれていて、有言実行してくれた。チームを引っ張り初戦突破して」と、晴れ舞台を見守った。

◆富島中時代のチームメート

日高暖己選手、椎葉虹太選手と富島中でチームメートだった４人もそれぞれ駆け付け、大舞台での活躍を祈った。
山本陽大さんは５回を終え、「緊張感があるが、楽しんでいるのは伝わってくる。全然ひっくり返してくれる点数」と期待。違う高校に進んだ今も交流があり、甲子園行きが決まるとお守りを勝って手渡したという。「中学時代も主軸だったが、めっちゃ成長して遠くにいった感じ。（日高投手は）尻上がりに調子を上げる。全然こっから」と逆転を祈った。

◆太鼓たたく１年生部員

太鼓をたたいて応援を引っ張る大役を任された野球部１年の佐藤大心さんは０―３とされた６回裏、「吹奏楽部が頑張ってくれているからたたきやすい。先輩たちのプレーをまだ見たいから、勝ってという思いでたたいている。この後１点ずつ取って、追いついてくれると思う」と、バチを握る手に力を込めた。