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高原のお花畑を散策−高千穂町五ケ所

本紙掲載日:2022-08-17
7面

ヤマホトトギスやカワラナデシコ

◆希少種のアソノコギリソウも

 暦とは裏腹に立秋を過ぎても厳しい残暑が続く。涼を求め、標高約800メートルにある高千穂町の五ケ所高原を散策した。

 町の中心部から約25分。祖母、阿蘇、久住と九州を代表する秀峰が一望できる「三秀台」は高原の〃お花畑〃としても知られている。

 この時期に多く見られるのは阿蘇地方に自生する希少種のアソノコギリソウ(キク科)。その名の通りギザギザの葉があり、キクに似た小さな白い花を密に咲かせる。

 なだらかな丘を縁取る道沿いにはヤマホトトギス(ユリ科)が点々と自生する。花びらをちょっと反らしたキュートな姿。紫色の斑点を散らした模様が、野鳥のホトトギスの胸に似ていることが名前の由来とされる。

 緑波打つ斜面で紅一点なのがカワラナデシコ(ナデシコ科)。先端が糸状に裂けた薄紅色の花はハッと目を引くほどかれんで美しい。ただ、シカの食害だろうか、この夏は花数が少なかった。

 枯れ草のようで見過ごしてしまいそうなのがホソバシュロソウ(ユリ科)。チョコレート色をした直径1センチほどの小さな花はよく見るとかわいい。独特の臭いに小さな虫が引き寄せられている。

 日当たりのいい場所にはクサフジ(マメ科)が群生している。フジによく似た薄紫色の花の周りには、濃い茶色のジャノメチョウや黄色いセセリチョウが蜜を求めて盛んに飛び交っていた。

 このほか、直径5ミリほどの淡い紅色の花をたくさんつけたシモツケ(バラ科)、鮮やかなオレンジ色をしたキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)などの花々が咲き、高原を吹き渡る風と共に癒やしの時を提供してくれた。

 三秀台には、日本アルプスの命名者として知られるウォルター・ウェストン師をしのぶ記念碑が建てられている。

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